中小企業診断士 1次試験 · 直前通読ノート
過去問演習や講義で「意味不明」だった箇所を、その場でGeminiに問い合わせた実録をまとめ直したもの。 教科書の順番ではなく自分が実際につまずいた順に材料が揃っているのが本体で、 刻まれる比喩や言い回しはできるだけそのまま残してある。 数値・公式・条文の扱いは点検済みで、疑わしい箇所には注記を入れている。 個人の税務・役員報酬・法人資金繰りの相談パートは試験範囲外のため全て除外した。
左右が混乱したら、まずここに戻る。全部の土台になる話。
「左(借方)=お金が入ってくる/借金が減る=嬉しい」「右(貸方)=お金が出ていく/借金が増える=悲しい」—— これはB/S(貸借対照表)における現金や借金の動きを捉える感覚としては完璧に正しい。 B/Sは「タンクに貯まっている水(状態)」の世界なので、この感情の直感がそのまま使える。
ところがP/L(損益計算書)は「パイプを流れる水(動き)」の世界であり、ここでは左右の感情が完全にひっくり返る。 売上が上がるのは嬉しいことだが右(貸方)に書く。経費がかかるのは痛いことだが左(借方)に書く。 なぜ逆転するのか——複式簿記は「結果」と「原因」を同時に記録するパズルだから。
クリニックで1万円の売上があった場合:
結果(左):現金が1万円増えた(嬉しい:B/Sの左) 原因(右):売上(収益)が1万円上がったから(P/Lの右) (借方)現金 10,000 / (貸方)売上 10,000
パソコンを10万円で買った場合:
結果(右):現金が10万円減った(悲しい:B/Sの右) 原因(左):消耗品費(費用)が10万円かかったから(P/Lの左) (借方)消耗品費 100,000 / (貸方)現金 100,000
感情ではなく「増えたら定位置、減ったら逆側」という機械的なルールで処理する。迷ったらまず現金の動き(増えたら左、減ったら右)を確定させ、空いた反対側に「原因」をパズルのように当てはめる。
| 定位置 | チーム |
|---|---|
| 左(借方) | 資産(現金・売掛金など)/費用(経費・損失など) |
| 右(貸方) | 負債(借金など)/純資産(資本金など)/収益(売上など) |
固定資産売却益はP/Lの「収益チーム」のメンバーなので、定位置は常に右(貸方)。 古い医療機器を帳簿価額より高く売れた(ラッキー)というケースで考える。 「手元に現金が入ってきた(結果)」をまず左に確定させ、「なぜ増えたか=機材が高く売れて利益が出たから(原因)」を右に代入してバランスを取る。 「右=悲しい」というのはB/Sという状態のタンクに限った話であり、売上・売却益のようなP/Lのメンバーが出てきたら「結果を説明するために反対側に代入された原因」と読み替える。
目次へ戻る貸借対照表の住人たちを「精鋭チーム」として丸ごと覚える。
B/S(貸借対照表)は「資金をどう集め(右)、それを何に変えたか(左)」を表す図。 左側の住人は全員「1年以内に現金になるか、本業サイクルの中で常に回っている」という厳しいオーディションを勝ち抜いた精鋭たち(ワン・イヤー・ルール)。
「満期保有目的の債券は流動資産である」は典型的な誤答。オレンジの警告ポイントは「売買目的+1年以内」だけが流動資産チームに入れるという一点。長期保有目的(満期保有・関係会社株式)は後述の固定資産チーム所属。
「1年以内に現金化する気は全くない」、腰を据えてビジネスの土台を作るメンバーたち。
1. 老化する資産か、しないか — 建物・ソフトウェアは減価償却するが、土地と建設仮勘定はしない。
2. 証券の「目的」は何か — 売買目的(短期)なら流動資産、満期保有目的(長期)・関係会社株式なら固定資産。
新規事業を立ち上げる際、オープン前の莫大な出費(ハンコ代・コンサル料・調査費など)を初年度に全額費用計上すると決算書が血みどろになる。 そこで「オープン前に使ったお金は、一旦『資産』の箱に隠して数年に分けて費用にしてよい」という特例が繰延資産(創立費・開業費)。すでに現金は消えているのに、決算書の上だけ資産のフリをして残れる合法的な魔法。
B/S仕訳の演習で、開業費を固定資産チームに混ぜて計算すると答えが選択肢に存在しなくなる。 資産チームは実は「流動資産」「固定資産」「繰延資産」の3つに分かれており、開業費は独立した「繰延資産」チームの所属。 「繰延資産は一括償却せず貸借対照表に記載する」という注記が問題文にあったら、固定資産の箱から必ず追い出すこと。
流動資産 250 固定資産 98(開業費2を除く) 繰延資産 2 ──────────────────────── 負債 100 純資産 250 左:250 + 98 + 2 = 350 右:100 + 250 = 350(一致)
右側は「資金の調達方法」。負債=いつか返さないといけない他人のお金、純資産=絶対に返さなくていい自分の本当のお金。
「流動資産(すぐ現金になる)」が「流動負債(すぐ返さなきゃいけない)」より少ないと、純資産に利益剰余金が山積みでも会社は黒字倒産する。 安全性分析では「流動比率=流動資産÷流動負債」で、この短期決戦の勝敗を必ずチェックする。
「資産」という同じ文字が入っているせいで混乱しやすいが、この2つは住んでいる世界が完全に別次元。
右側(純資産)はお金の出どころ、左側(固定資産)はお金の使い道。見たことのない単語が出てきたら「これは事業をたたむ時に他人に売れるか?」と自問する。
純資産の正体は金庫の中の物理的なお金ではなく、「会社がこれまで歩んできた歴史(出資と黒字のメモ書き)」に過ぎない。だから誰にも売れない。
損益計算書は上から下へ流れる「お金の滝」。仕入割引はなぜ経常利益で足すのか。
P/Lの計算は、売上高から段階的に利益を絞り込んでいく一方通行の滝として捉える。
売上高から売上原価を引く。売上原価は「期首+当期仕入-期末」で逆算する。 在庫管理に例えると、倉庫に最初からあった服(期首10)+今年仕入れた服(500)の合計510着のうち、年末の売れ残りが60着なら、実際に売れて出ていった原価は510-60=450と正確に逆算できる。
売上高 1000 - 売上原価450(=期首10+仕入500-期末60) = A 売上総利益 550
粗利から販管費(給与・広告宣伝費・旅費交通費・福利厚生費・通信費・水道光熱費など)を引く。
550 - 200(販管費) = B 営業利益 350
「割引」という名前だが、不良品の値引きではない。「月末払いのツケを、手元に現金があるから早めに払ってあげたことでもらえた、金融の利息のようなキャッシュバック」という性質のもの。 つまり資金繰りが上手い会社が得られる「財務上のボーナス」なので、本業の粗利(売上原価)には混ぜず、営業外損益として経常利益の段階でプラスする。
350 + 受取配当金10 + 仕入割引5 - 支払利息30 = C 経常利益 335
今年たまたま起きた一過性のラッキー・アンラッキー(特別利益・特別損失)を加減し、税金を払う。
335 + 特別利益10(固定資産売却益)- 特別損失45(災害損失)= 税引前利益 300 300 - 法人税等120 = D 当期純利益 180
「仕入割引は、商品の値引きではなく資金繰り上手へのボーナスだから下(経常利益)の方で足す」——この理屈だけ知っていればウォーターフォールのパズルは瞬殺できる。
試験委員が大好きな「主語と説明文のすり替えパズル」。
企業会計には憲法のような7つの「一般原則」と、その補足ルールである「注解」が存在する。試験では主語と説明文がわざとすり替えられる。
例えば100円のボールペンを備品(資産)として計上し数年かけて減価償却するのは事務作業の無駄。 「金額が小さくて重要性が乏しいものは、消耗品費としてその年の経費で一発で落としてよい」という実務上のルールが重要性の原則。 しかしこれは憲法である一般原則(7つ)の中には入っておらず、補足説明書である注解の方に書かれている。試験で何度も狙われる引っかけポイント。
企業会計原則の問題が出たら、「主語」と「説明文」が正しく一致しているかの間違い探しゲームとして解く。
巨大な表に見えるが、正体は「純資産チームの1年間の家計簿」。
表が巨大で項目も多く圧倒されるが、単なる純資産チームの1年間の家計簿。
表の内部でどう資金を移動させたか(資本金に入れたか準備金に入れたか等)は、会社全体のトータル金額には一切影響しない。 「外部からお金が入ってきたか、外部へ出ていったか」だけを俯瞰すればよい。
前期末残高(純資産合計) 250
(1) 新株発行:外部から現金が入ってきた + 50
(資本金25/資本準備金25の内訳は無視してよい)
(2) 剰余金の配当:外部へ現金が出ていった - 10
(利益準備金への積立は「箱の中の引き出しの
場所替え」なので影響なし)
当期純利益 + 180
自己株式の処分(外部へ売って現金化) + 4
新株予約権の増加 + 6
────────────────────────────
当期末残高 480表の空白をすべて真面目に埋めようとすると試験の貴重な時間が奪われる。「外部とのやり取りか、内部の付け替えか」だけを俯瞰すれば、ただの足し算・引き算のボーナス問題に変わる。
目次へ戻る表に数字がズラッと並ぶが、「右側の2列はダミー」の問題も多い。関門は2つ。
減損とは、経営者が「この設備、実は稼げない不良債権でした」と白状して、帳簿上の見栄えを強制的に引き下げるルール。
これから稼ぎ出す現金の合計(割引前将来CF)が、今の帳簿価額を下回っていたら(元が取れないなら)減損決定。 「減損損失を認識すべきものはどれか」だけを問う問題では、右側の2列(正味売却価額・使用価値)は一切使わない完全なダミーであることが多い。
資産X: 帳簿2,800 > 将来CF2,400 → 減損決定 資産Y: 帳簿3,100 < 将来CF3,300 → セーフ(減損なし) 資産Z: 帳簿4,500 > 将来CF3,900 → 減損決定
第1関門で減損確定した資産だけ、右側の「正味売却価額(売る)」と「使用価値(使い倒す)」を比較し、経営者として少しでも手元に多く残る=高い方を回収可能価額として採用する。帳簿価額との差額が減損損失。
資産X: 売却1,300 vs 使用価値1,400 → 高い方1,400を採用
減損損失 = 2,800 - 1,400 = 1,400
資産Z: 売却3,400 vs 使用価値3,200 → 高い方3,400を採用
減損損失 = 4,500 - 3,400 = 1,100減損の表が出たら(1)左2つを比べて稼ぎが負けていれば減損決定、(2)右2つを比べて高い方を選び帳簿価額から引く、の2ステップで一撃。
債務性/非債務性の見分け方と、修繕引当金vs修繕積立金の別世界。
債務性引当金=相手の顔が見えている。「あなたに絶対に払います」という法的な約束(義務)があるもの。
非債務性引当金=相手の顔が見えていない。誰かに約束したわけではないが、自分のために確実にお金がかかるから準備しておくもの。
貸倒引当金は「負債性引当金」に分類されそうに見えて、実際は資産チーム(売掛金などの下)にマイナスとしてくっつく「評価性引当金」という別グループ。 問題文が「負債性引当金は〜」と限定している場合、貸倒引当金は前提条件から完全に外れる絶対的なダミー選択肢になる。
目的(将来の修理に備える)は同じでも、所属チームと税金への影響が完全に別次元。
| 所属 | 今年の利益への影響 | |
|---|---|---|
| 修繕引当金 | 負債チーム | 経費になり、利益を減らす(見えない借金として計上) |
| 修繕積立金 | 純資産チーム(任意積立金の一部) | 税引後の黒字にラベルを貼るだけ。経費にならず利益への影響なし |
※ 文字通り銀行の別口座へ現金を移して貯金した場合は、資産チームの「現金預金」になる点にも注意。
複雑な計算は捨て、文章問題だけ国語のクイズとして拾う。
税効果会計は上場企業・大企業には強制適用されるが、中小企業には適用要請がない。自社の実務として深く理解する必要はなく、試験対策としても「会計と税務のルールのズレを調整する処理である」という概要と「法人税等調整額」「繰延税金資産/負債」という用語を押さえれば十分——という位置づけで扱う。
なぜこんな面倒な処理があるのか。会社の帳簿ルール(会計)と国のルール(税務)で経費として認めるタイミングが違うために生じる「ズレ」の辻褄合わせ。例えば貸倒引当金を会社は今年の経費にしたいが、税務署は「まだ確定していない損失は損金として認めない」と却下する(損金不算入)。このズレを補正するのが税効果会計。
漢字のまま読めばよい。将来減算一時差異=将来、税金の計算ベースを減額する。将来加算一時差異=将来、税金の計算ベースを増額する。
資産か負債かは経営者の直感で判定:将来払う税金が安くなる(得)なら資産(繰延税金資産)、将来払う税金が増える(プレッシャー)なら負債(繰延税金負債)。
以下の3つは「一時的なズレ」ではなく、税務署が時間が経っても一生経費として認めない永久差異。税効果会計(ズレの調整)の対象から完全に外れる。
一方、減価償却費の超過額・貸倒引当金・退職給付引当金などは一時差異(いつかは解消されるタイミングのズレ)。選択肢に永久差異キーワードが「一時差異」として混ざっていたら即アウト。
試験本番までの限られた時間を、以下の基準で仕分ける。
※注記:本セクションの「中小企業に適用義務なし」は試験対策上の大づかみな整理であり、実際の適用可否は会社の規模・会計基準の採用状況によって細かな例外がある。試験知識としての割り切りとして扱い、実務判断の根拠にはしないこと。
目次へ戻る支店同士は直接口を利けない。すべて「本店」を経由する。
本店集中計算制度は「支店同士で直接やり取りするのは禁止。必ず本店(親分)を経由したことにする」という絶対ルール。 自分の帳簿に相手の支店名を書くことは許されず、必ず「本店」と書く。
本店=親会社、A支店=アパレル事業、B支店=クリニック事業と仮定。クリニック(B)が払うはずの借金20万円を、アパレル(A)が代わりに立て替えたケース。
【A支店(立て替えた側)の仕訳】 (借)本店 200,000 / (貸)当座預金 200,000 → 本当はBの代わりに払ったが、Bとは直接絡めないので 「親分(本店)に200,000預けた(貸した)」と扱う 【B支店(助けてもらった側)の仕訳】 (借)買掛金 200,000 / (貸)本店 200,000 → 本当はAが払ってくれたが、Aとは直接絡めないので 「親分(本店)が代わりに払ってくれた(本店に借りた)」と扱う
本店側は中継地点として2段の記録を作るが、そこは架空のパス回し(左右で相殺されて消える)なので、試験対策上は真面目に追わなくてよい。
「お金を払った支店も、借金が消えた支店も、相手の支店名を書かずに全部『本店』と書く」——これだけ知っていれば、「A支店の仕訳に『B支店』と書いてある」引っかけ選択肢を一瞬で弾き落とせる。
核心は「利益は嘘をつく」。間接法・直接法・3区分・前受/未払利息の4本立て。
P/L(損益計算書)の「利益」は、現金の動きから見ると嘘をついている。間接法は、その嘘(ズレ)を暴いてリアルな通帳残高をあぶり出す仕組み。
アパレル事業とクリニック事業で「P/Lの嘘」を具体化する。
売上債権という箱は「期首残高」「今年の売上」「貸倒れ(ゴミ箱行き)」「現金回収(求める答え)」の4要素でしか増減しない。
期首債権 30,000 + 当期売上 150,000 - 貸倒れ200 - 期末債権 50,000 = 営業収入 129,800 ※貸倒れ200の内訳(罠): 引当金の取り崩し(前期300+当期補充200-当期末残400=100) + P/L上の貸倒損失(直接消滅分100)= 合計200
営業活動(本業の稼ぎ)/投資活動(未来への種まき:設備購入・貸付)/財務活動(資金繰り:借入・返済・株発行)の3箱。 出題者は必ずチームメンバーをシャッフルして選択肢に混ぜてくるので、計算の前にまず「見出し(今回はどの区分か)」を確認し、別チームの単語(例:財務活動の箱に紛れた長期貸付金=本来は投資活動)を弾き落とす。
長期貸付金(他人にお金を貸す) → 投資活動チーム 長期借入金(銀行から借りる) → 財務活動チーム 長期借入金が期首1,000→期末500(新規借入なし) = 500の借金を返済した = 財務活動CF △500
未払利息が負債なのは分かりやすい(払う義務が残っている)。分かりにくいのは前受利息——現金は先に入ってきて嬉しいはずなのに、なぜ負債なのか。 答え:来月分の利息を先にもらってしまった以上、「来月が終わるまで貸し続けなければならない(途中解約なら返金義務を負う)」という役務提供の義務を抱えている。「お金を返さなきゃいけなくなるかもしれないプレッシャー」を負っているから負債チーム。
【魔法のルール:負債(プレッシャー)が増えたら現金(CF)はプラス】 A:利息の受取額 受取利息5,000(P/L) + 前受利息の増加300 = 5,300 B:利息の支払額 支払利息△7,000(P/L) + 未払利息の増加500 = △6,500
間接法の3つのIFルールをそのまま機械的に適用するだけの、確実に拾うべきボーナス問題。
税引前当期純利益(=営業利益) 200,000
+ 減価償却費 + 30,000
+ 売掛金の減少(4,000回収できた) + 4,000
- 棚卸資産の増加(3,000仕入で現金流出) - 3,000
+ 買掛金の増加(1,200支払を待ってもらった)+ 1,200
- 法人税等の支払い(未払法人税等が不変
=全額現金で納付した) - 60,000
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営業活動によるキャッシュ・フロー 172,200オリジナル模試3問。本番前に一度、罠に引っかかっておく価値がある。
NIKA本人が実際に解いて2問誤答した記録。誤答の原因が典型的な引っかけパターンだったため、そのまま復習教材として残す。
第1関門の判定用数字(割引前CF 4,800)を、そのまま損失額の引き算に使ってしまうのが典型的な誤答パターン。4,800は「減損を執行するか」を判定するためだけの使い捨てセンサーで、帳簿5,000より稼げないと判明した時点で用済みになる。 減損確定後は第2関門に移行し、正味売却価額3,500と使用価値4,000の高い方(4,000)を採用する。5,000-4,000=1,000千円(エ)。
「出題者が最も好む絶対的エースの罠」に引っかかったパターン。貸倒引当金は名前に「引当金」が入っているが、負債チームには絶対に入らず、売掛金の下にマイナスとしてくっつく資産チームの評価性引当金。 ア・エは純資産(過去の黒字の貯金箱)。「相手の顔が見える法的な義務」であるイ(商品保証引当金=お客様への修理義務)だけが負債チーム。
「税務署が一生許さないリスト(交際費・寄付金・罰科金=永久差異)」を正しく除外できていれば、消去法で一撃。この直感が本番でも通用する水準。
4つを並列で覚えようとするから混ざる。運び方チームと住所管理チームに分ければ終わる。
データの運び方チーム=TCP / UDP(送るときのスタンスの違い)
住所管理チーム=DNS / DHCP(迷子にならないための裏方)
この2チーム分けを先にやれば、あとは各チーム内の2択になる。
| 用語 | 正体 | 比喩 | 使う場面 |
|---|---|---|---|
| TCP | 確実。到達確認をして、欠けていれば再送 | 簡易書留。受領印を毎回確認する | Web閲覧・メール・ファイル転送(1文字でも欠けたら困る) |
| UDP | 高速。到達確認をしない | チラシのポスティング。何枚か風で飛んでも配り続ける | ビデオ会議・音声通話・ライブ配信 |
| DNS | 変換。ドメイン名とIPアドレスを翻訳(名前解決) | インターネットの電話帳・連絡先アプリ | URLを入力してサイトが開くとき |
| DHCP | 自動。接続してきた端末にIPアドレスを自動割当 | 自動の部屋割りシステム | Wi-Fiに繋いだ瞬間 |
建築中の自宅に友人が来てWi-Fiに繋いだ瞬間、ルーターが「君のスマホの部屋番号はこれ」と割り振る——これがDHCP。 これがないと接続のたびに手動でIPアドレスを打ち込む地獄になる。
「UDPは到達確認を行うため信頼性が高い」→ UDPはチラシ配りだから確認しない。TCPと逆。
「DHCPが名前解決する」→ 名前を調べるのがDNS、住所を配るのがDHCP。係が別。
勝負は下位3層だけ。上層はひとまとめにされることが多い。
上から アプリケーション/プレゼンテーション/セッション/トランスポート/ネットワーク/データリンク/ブツリ(物理)。 受験界の定石の呪文。
| 層 | 名前 | 対応機器 | 何を見て動くか |
|---|---|---|---|
| 第3層 | ネットワーク層 | ルータ・L3スイッチ | IPアドレスを見て、別ネットワークまでの経路を決める |
| 第2層 | データリンク層 | L2スイッチ・ブリッジ | MACアドレスを見て、同じLAN内でバケツリレー |
| 第1層 | 物理層 | リピータ | 弱った電気信号を増幅して延長するだけ |
院内の振り分け=第2層(L2スイッチ)/外の世界との通信=第3層(ルータ)。
「IPアドレスを用いて経路選択を行う機器はどれか」と問われたら、外の世界との道順だから第3層のルータ。
ネットワーク部=地域名、ホスト部=番地、サブネットマスク=その仕切り線。
IPアドレスは現実の住所と同じ役割を持つ。「神奈川県横浜市港北区綱島西 1-2-3」で言えば——
ネットワーク部(地域名) = 神奈川県横浜市港北区綱島西 … どの町に届けるか ホスト部(番地) = 1-2-3 … その町のどの家か サブネットマスク = どこまでが地域名で、どこからが番地かを区切る「仕切り線」
サブネットマスク 255.255.255.0(別名 /24)の場合——
255になっている部分=ネットワーク部、0になっている部分=ホスト部。これが世界共通のルール。
IPアドレス 192.168.1.10
サブネットマスク 255.255.255.0
─────────────
ネットワーク部 192.168.1 (=「綱島」のような地域名)
ホスト部 10 (=「10番地」という端末の番号)同じネットワーク部(192.168.1)にいる端末同士は、番地(10・11・12…)を変えるだけで通信できる。
速度の数字(Mbps)は全部無視してよい。2.4GHzか5GHzかの1点。
| 周波数帯 | 性質 | 弱点 |
|---|---|---|
| 2.4GHz(一般道) | 障害物に強く、壁を抜けて遠くまで届く | Bluetoothや電子レンジと同じ帯域で干渉・渋滞しやすい |
| 5GHz(高速道路) | Wi-Fi専用で干渉がなく高速・安定 | 障害物に弱く、壁や階をまたぐと途切れる |
①「a」と「ac」=5GHzのみ(高速道路しか走れないエリート)
②「b」と「g」=2.4GHzのみ(一般道しか走れない泥臭いヤツ)
③「n」と「ax」=両方使えるハイブリッド
「11gは5GHz帯を使用し〜」という選択肢を見た瞬間、gは一般道(2.4)だから嘘と瞬殺できる。
11n=Wi-Fi 4、11ac=Wi-Fi 5、11ax=Wi-Fi 6。
11be=Wi-Fi 7が最新で、2.4/5/6GHzの複数帯域を同時に使うMLO(マルチリンク・オペレーション)が特徴。
新しい規格なので深い技術用語まで問われる可能性は低いが、「a・b・g・n・ac・ax と来て今はbeが最新」という並びだけ押さえておけば選択肢に紛れても見破れる。
単独暗記せず、API送受信の1本のパイプラインに乗せる。
| 技術 | 仕組み | 比喩 | 弱点・特徴 |
|---|---|---|---|
| 共通鍵暗号 | 暗号化と復号に同じ鍵 | ZIPにパスワードをかけて送る | 速いが、鍵そのものをどう渡すかという鍵配送問題 |
| 公開鍵暗号 | 暗号化は公開鍵、復号は秘密鍵 | 開いた南京錠をバラ撒き、マスターキーは自分だけが持つ | 鍵を盗まれても安全だが計算が重い |
| ハッシュ | 固定長に変換。元に戻せない | 不可逆の指紋 | 1文字変われば別物になる。改ざん検知とパスワード保管専用 |
| 電子署名 | 公開鍵暗号の逆張り+ハッシュ | 本人が閉めた証明 | なりすまし防止と改ざん検知を同時に満たす |
① 送るデータをハッシュ化して指紋を作る ② その指紋を、自分だけが持つ「秘密鍵」で暗号化する ← これが署名 ③ データ本体と署名をセットで送る ④ 受け取った側は、公開されている送信者の「公開鍵」で署名を開ける → 開けられた=本人の秘密鍵で閉めた証明(なりすまし防止) → 中身の指紋と突き合わせて改ざんゼロも確認
秘密を守る公開鍵暗号=受信者の公開鍵で暗号化 → 受信者の秘密鍵で復号
電子署名=送信者の秘密鍵で署名 → 送信者の公開鍵で検証(逆向き)
共通鍵=同じ鍵!速いけど鍵を渡すのが危険!/ハッシュ=戻せない指紋!改ざん発見専用!
自作ツールで外部APIを叩くとき、認証ヘッダーにシグネチャを生成して付与する処理は、 まさに「ハッシュ化して秘密鍵で署名する」そのもの。実務の景色と繋がればダミーは全部弾ける。
目次へ戻る目的は「安いディスクを合体させて、速く・壊れないディスクに仕立てる」こと。
| 構成 | 仕組み | 最低台数 | 使いどころ |
|---|---|---|---|
| RAID 0(ストライピング) | データをちぎって同時書き込み。爆速だが1台壊れたら全損 | 2台 | 消えてもやり直せる作業用領域のみ |
| RAID 1(ミラーリング) | 2台に同じものをコピー。1台壊れても無傷 | 2台 | 絶対に消えては困る小規模DB。容量は実質半分 |
| RAID 5 | データ+パリティ(復元用の計算値)を分散。1台までなら計算で復活 | 3台 | 企業のファイルサーバー。容量効率がよい |
| RAID 10 | RAID 1のペアをRAID 0で束ねる。速くて強い | 4台 | 止まれない基幹システム。コストは高い |
「3 + 2 = 5(パリティ)」と保存しておけば、3のディスクが壊れても「? + 2 = 5」から壊れたのは3だと計算で復元できる。 丸ごとコピーしないので容量のムダが少ない代わりに、書き込みのたびに計算が入るぶん処理は少し遅くなる。
RAIDは機械の故障からは守るが、人間のミスや災害からは守らない。 スタッフが誤ってファイルを削除すれば、RAID 1はその「削除」も律儀に即コピーしてデータは完全に消える。 落雷・火災・ランサムウェア感染でも全滅する。
だからRAIDで稼働を止めない仕組みを作りつつ、それとは別に外部(クラウド等)へ逃がすバックアップが必須という2段構えになる。 NASは「ネットワーク越しに繋ぐ外付けストレージ」という機器のジャンル名で、小規模向けは2本差しでRAID 1を組むのが定番。
デュプレクスとコールドスタンバイは比較する対象ではない。階層が違う。
デュプレクスシステム=親カテゴリ(犬)。メイン機と予備機の2台を用意する構成の総称。
コールドスタンバイ=子カテゴリ(チワワ)。その予備機をどんな状態で待機させるかという待機レベルの一つ。
| 待機レベル | 予備機の状態 | 障害時 | コスト |
|---|---|---|---|
| ホットスタンバイ | 電源が入りシステムも起動、常にデータ同期 | 数秒〜数分で自動的に引き継ぎ | 非常に高い |
| コールドスタンバイ | システムは停止、電源すら入っていないことも。データ同期なし | 人が起動しバックアップを流し込む。数時間〜数日 | 安い |
もう1つの親カテゴリとしてデュアルシステムがある。こちらは2台が同じ処理を同時に行い、答え合わせをしながら進む双子のような構成。 デュプレクス(メイン+予備の切替)とは別物。
| クラスタリング | グリッドコンピューティング | |
|---|---|---|
| イメージ | 同じオフィスのプロの精鋭チーム | 世界中から集めたボランティアの人海戦術 |
| 場所 | 同一LAN内など近距離で密に接続 | インターネット越しの遠距離で疎に接続 |
| 機器 | 同じ機種・同じOSで統一 | バラバラの機種・OSの寄せ集め |
| 目的 | システムを止めない・負荷分散(高可用性) | 余っているCPUをかき集めて巨大な計算を分担 |
選択肢に「余剰資源(ネットワーク上の空きリソース)を利用して」が見えた瞬間、グリッドコンピューティングで確定。
直感に反するパラドックスを知っておくと、規格の新旧が一発で並ぶ。
| 方式 | 仕組み | 代表例 |
|---|---|---|
| シリアル(1車線) | 1ビットずつ順番に送る | USB、SATA、e-SATA、LANケーブル |
| パラレル(複数車線) | 複数の線で複数ビットを同時に送る | SCSI、IEEE1284(昔のプリンタ)、古いPCIバス |
直感では複数車線のほうが速いはずだが、周波数を上げると横に並んだ信号同士が干渉(クロストーク)し、 さらに各線のコンディション差で「同時に出発したのに到着がズレる」(スキュー)問題が起きる。 結果「足並みを揃えるより1車線を超高速でかっ飛ばすほうが速い」となり、現代はシリアル全盛。
問題文に「パラレルインタフェースである」と見えた瞬間、現代の主流であるSATA・USBは全部弾け、
古いSCSIやIEEE1284に絞り込める。
SATAは名前にSerialが入っている。e-SATAの「e」はexternal(外付け)。
Bluetooth=電波。障害物があっても通信できる(カバンにスマホを入れてもイヤホンで聴ける)。
IrDA=赤外線。障害物があると通信できない(リモコンの前に人が立つと効かない)。
試験はこの主語をわざと入れ替えてくる。
下回りの重さがどう削られてきたか、という一本のストーリーで並ぶ。
| 技術 | 仕組み | 不動産に例えると |
|---|---|---|
| ホストOS型 | ホストOSの上に仮想化ソフトを入れ、さらにゲストOSを立ち上げる | 完成済みのビルの一室に足場を組み、もう一度ミニビルを建てる。二重手間で重い |
| ハイパーバイザー型 | ホストOSを挟まず、ハードウェアに直接管理ソフトを入れて複数のゲストOSを動かす | 更地に直接テナント管理システムを埋め込み、独立した複数のクリニックを建てる |
| コンテナ技術 | ゲストOSを立ち上げず、ホストOSのカーネルを共有して薄い箱だけ隔離 | シェアオフィス。重いインフラはビル全体で共有し、薄いパーテーションだけで区切る |
| サーバレス | インフラの構築・保守を事業者に丸投げし、動かすコードだけ置く | テナントすら借りず、必要な時だけ時間貸し会議室を使って即退室 |
「OSの上にOS」→ ホストOS型/「ホストOS不要・直接動作」→ ハイパーバイザー型
「ゲストOS不要・軽い・数秒で起動」→ コンテナ/「事業者に任せる・実行時間分だけ課金」→ サーバレス
| グループ | 方式 | データの所在 |
|---|---|---|
| 手元に持ってくる | VPN方式、スタンドアロン方式 | 自宅PCに残る。紛失・感染で流出のリスク |
| 画面だけ遠隔操作 | リモートデスクトップ方式、仮想デスクトップ(VDI)方式 | 常にオフィス側。手元は空っぽなので紛失しても漏れない |
| アプリ内を隔離 | セキュアコンテナ方式、セキュアブラウザ方式 | 端末内の隔離された金庫の中だけ。私用アプリと分断 |
手元のPCにデータが残るか、残らないか。これだけで3グループに仕分かる。 「画面だけ映す安全なやつ」か「データを手元に持ってくる危険なやつ」かのフィルターで選択肢が絞れる。
SOAはレゴブロックの寄せ集め。言語は人物相関図にすると忘れない。
SOA(サービス指向アーキテクチャ)とは、システムをゼロから全部自作せず、 独立した便利な機能をレゴブロックのように組み合わせて作ろうという考え方。 クリニックのサイトで地図を自作せずGoogleマップを埋め込み、予約機能を外部サービスに繋ぐ——あれがSOA。
| 技術 | 役割 | 連携の流れで言うと |
|---|---|---|
| UDDI | サービスの登録簿・検索 | ①便利な予約サービスを探す(タウンページ) |
| WSDL | インタフェースの記述 | ②どう連携すればいいかの取扱説明書を読む |
| XML | データ形式・マークアップ言語 | ③双方が読める共通の記入用紙に書く |
| SOAP | 通信のプロトコル | ④封筒に入れて相手に届ける |
「検索」「登録簿」→ UDDI/「記述する」「インタフェース」→ WSDL/ 「プロトコル(通信手順)」→ SOAP/「データ形式」「マークアップ言語」→ XML
| 言語 | キャラ | 試験で狙われるキーワード |
|---|---|---|
| COBOL | 銀行の地下に住む超長老 | 事務処理・歴史が古い |
| C | ITのゴッドファーザー | OS開発・メモリ管理 |
| Java | グローバルエリート幹部 | 機種依存しない(仮想マシン)・オブジェクト指向 |
| JavaScript | チャラ男から大出世したWeb界の王者 | ブラウザで動く(動的Web) |
| Python | 今一番モテている天才児 | 人工知能(AI)・機械学習 |
| Ruby | 日本発のオシャレな芸術家 | 国産・オブジェクト指向 |
| SQL | データベースの絶対神・鍵番 | 非手続き型・第4世代 |
第1世代=機械語/第2世代=アセンブラ/第3世代=手続き型(C・COBOL・FORTRAN)/第4世代=非手続き型(SQL)。
手続き型=新人アルバイトへの指示。手順を1から10まで全部書く。
非手続き型=ベテラン秘書への指示。「東京都の顧客リストをちょうだい」と欲しい結果だけ言えばよい。
「非手続き型言語」「第4世代」と来たらSQL。
バイナリファイル=テキスト以外のすべて(画像・動画・音声・実行ファイル)。 メモ帳で無理やり開くと文字化けする。文字化けするファイル=バイナリ(機械用)と割り切ってよい。
UXは「良い・悪い」の総合評価。ユーザビリティはその一要素にすぎない。
| 用語 | 正体 | クリニックで言うと |
|---|---|---|
| UI | ユーザーとシステムの境界面 | 予約ボタン、サイトの配色、自動精算機のタッチパネル |
| ユーザビリティ | 目標を正確・効率的に達成できる度合い(機能的な使いやすさ) | 3タップで予約が完了する、文字が大きく押しやすい |
| UX | 利用を通じて得られる体験と感情の総称 | 予約も簡単で説明も優しく「またここで診てもらおう」と思う |
| アクセシビリティ | 誰も排除しない状態(Web版のバリアフリー) | コントラストを濃く、画像に代替テキスト、キーボードだけで予約可能 |
ユーザビリティ=マイナスをゼロにする(ストレスをなくす手段)
UX=ゼロをプラスにする(感動させる・また来たいと思わせる)
だから逆転が起きる。使いやすいのにUXは最悪(予約は3タップで完璧だが、行ったら態度が悪く2時間待たされた)。 使いにくいのにUXは最高(看板もなく相席の狭い椅子で注文も初見殺しだが、漁師飯が圧倒的に美味くてまた並びたくなる)。
ユーザビリティは「器(システム)」だけを評価する。 サクサク動いて読みやすいニュースアプリは、中身がフェイクニュースやゴシップばかりでもユーザビリティは高いと判定される(UXは最悪だが)。 器と中身を切り分けるのが正しい理解。
正規化は「1つの表に詰め込みすぎない」話。RMSEは「大ハズレを重く罰する」話。
「2乗してからルートを被せるなら元に戻るだけでは?」という違和感は自然だが、戻らない。数字を入れると分かる。
予測誤差が「2」と「10」の2回あった場合 MAE(単純平均) : (2 + 10) / 2 = 6 MSE(2乗して平均): (4 + 100) / 2 = 52 RMSE(ルートを被せる): √52 ≒ 7.2 ← 6ではなく7.2になる
MAE=ただのズレの平均。直感的で分かりやすい。
MSE=大ハズレを2乗して重く罰する。ただし単位も2乗されて人間には意味不明になる。
RMSE=MSEにルートを被せ、単位を元に戻しつつ大ハズレを重く罰する性質は維持したいいとこ取り。
来院患者数の予測で、毎日2人ずつ外すAIと、週1回だけ10人大外しするAIがあるとき、 MAEでは同程度に見えてしまうが、RMSEなら後者に強いペナルティが付く。 「日常の小さなミスは許すが、シフトが崩壊する致命的な大ミスは許さない」という経営判断を、そのまま評価指標にしたのがRMSE。
正規化の目的は、1枚の表に情報を詰め込みすぎることで起きる重複と矛盾を防ぐこと。 注文書のような伝票を、繰り返し部分の切り出し → 主キーの一部にしか依存しない項目の切り出し → 主キー以外に依存する項目の切り出し、と段階的に分解していく。 細かい正規形の定義よりも「1つの事実は1箇所にだけ持つ」という原則を先に押さえるほうが、選択肢の判断では効く。
現場の動きは受注生産にそっくりなのに、試験では見込生産に分類される。ここが最大の引っかけ。
「最初にバッファを5個持っておいて、売れたら即渡し、減った分だけ後ろで作って補充する。 世界が終わったら最初のバッファ分だけ在庫が残る」——この体感は、かんばん方式の物理的な動きとしては完全に正しい。 だが試験では、これを受注生産と呼んではいけない。分類の軸が「動き」ではなく「仕様が毎回違うかどうか」だから。
受注生産は、注文が来てから材料を手配してゼロから作る。お客様ごとに仕様が違うので、 あらかじめ完成品を持っておくことが物理的に不可能であり、即渡しは絶対にできない。 建築中の注文住宅がまさにこれで、契約前に家が建っていることはあり得ない。
一方かんばん方式は「同じ規格品を繰り返し作る」のが前提だからこそ、完成品バッファを持てる。 だから分類上は見込生産の究極進化系であって、受注生産ではない。
| 方式 | いつ作るか | 在庫 | 即渡し |
|---|---|---|---|
| 受注生産 | 注文が来てからゼロから | 常にゼロ | 不可能 |
| プッシュ型(見込生産) | 予測して一気に作り前工程から押し込む | 売れ残りリスク大 | 可能 |
| プル型(かんばん) | 後工程に引っ張られた分だけ | 最小限のバッファ | 可能 |
受注生産=仕様が毎回違う・在庫ゼロ・即渡し不可。
かんばん(プル型)=仕様は同じ規格品・最小バッファあり・即渡し可能。
プル型の正式名称は後工程引取方式。かんばんはその補充指示を伝えるただの情報伝達ツール(札やタグ)にすぎず、目的は作りすぎのムダをなくすこと。
Littlelinksの店頭で、Mサイズを常に3着だけ置く。1着売れたらレジで外したタグを工場に送り、工場はそのタグを見て1着だけ作って補充する。 このタグが「かんばん」。クリニックなら、注射器の最後の1箱を開けたときに箱の中のカードを事務長へ渡し、 そのカードを受け取ったときだけ発注する。予測ではなく使われた分だけトリガーが発動して自動補充される仕組み。
目次へ戻るプラスとマイナスのシーソーではない。2つの「嫌なこと」の板挟みで妥協点を探す式。
Q = √( 2DS / C ) Q:経済的発注量(1回に発注すべき、最もコスパの良い数) D:年間需要量(1年でどれくらい売れるか) S:1回あたりの発注費(送料・手数料・発注の手間) C:1個あたりの年間保管費(倉庫代・置き場所のコスト)
DとSが分子でCが分母、と言われても「送料も倉庫代もどっちも嫌なコストなのに、なぜ上下に分かれるのか」が腹落ちしない。 この式はプラス要因とマイナス要因のシーソーではなく、2種類の嫌なことの板挟みで、トータルのダメージが最小になる点を探す式だと捉えると解ける。
| 嫌なこと | 回避策 | 発注量への影響 | 式の位置 |
|---|---|---|---|
| S:送料・発注の手間が固定で高い | 注文回数を減らす=まとめ買い | 押し上げる | 上(分子) |
| C:倉庫代・置き場所が邪魔 | 手元在庫を減らす=こまめ買い | 押し下げる | 下(分母) |
クリニックのバックヤードで考えると分かりやすい。1回発注するごとの送料が高いなら、まとめ買いしたくなる(Sは上)。 一方バックヤードは限られていて、ダンボールが山積みになるとスタッフの動線が死ぬ。それが嫌ならこまめに買う(Cは下)。 この2つの合計コストが一番安くなる着地点がQ。
上に「2」と「デ(D:需要)」と「ス(S:送料・発注費)」、下に「シ(C:倉庫代)」。
電卓では、上を計算して下で割って、最後にルートのボタンを叩く。
分子の「2」は在庫が徐々に減る推移の三角形(平均在庫)から出てくる固定値なので、意味を考えず無条件に掛ける。
ダブルビン方式は「究極のアナログ版・定量発注方式」。無意識にやっていたことに名前が付く。
BARで瓶ビール・おしぼり・ソーダを「箱が空になったら発注」で回し、割り物のペットボトルは「残り◯本になったら決まった数を発注」で回していた。 これは両方とも定量発注方式であり、学問上の名前を知らなかっただけで、最もコスパの良い仕組みを現場で運用していたことになる。
| 方式 | ルール | 分類 |
|---|---|---|
| ダブルビン方式(複棚法) | 同じ箱を2つ用意し、1つ目が空になったら発注。届くまで2つ目で回す | 究極のアナログ版・定量発注 |
| 発注点方式(補充点方式) | 在庫が発注点まで減ったら、常に決まった数を発注 | ド直球の定量発注 |
| 定期発注方式 | 発注のタイミングを決めておき、毎回需要を予測して必要量を発注 | 手間はかかるが精度が高い |
Aランク(高級品・重要)=定期発注方式。毎回真剣に予測して発注する。手間がかかっても見合う。
Cランク(消耗品・安い)=定量発注方式・ダブルビン。空になったら決まった数を買う。脳死で回せるトリガーにしておくのが正解。
BARで1本数万円の高級ボトルを「空いたら適当に1本補充しといて」とはしない。クリスマス前なら何本仕入れるか真剣に考える=定期発注。 逆におしぼりに毎回需要予測をするのは人件費のムダ=定量発注。この体感がそのまま試験の正解になる。
ボックスを書く正式ルートは実務向け。試験では原則として書かない。
| 手法 | やること | 用途 |
|---|---|---|
| ボックス法(正式) | 各結合点に最早結合点時刻・最遅結合点時刻を書き、差=余裕日数(スラック)を出す | 実務のプロジェクト管理。全タスクの遊びが可視化される |
| 経路の足し算(ショートカット) | スタートからゴールまでの全ルートを足し、一番長いルート=クリティカルパスだけを特定 | 試験。圧倒的に速く計算ミスも減る |
本試験のPERT問題の大半は「クリティカルパスはどれか」「◯日短縮するにはいくらかかるか」を問う。 全ルートを指でなぞって足し算し、一番長いルートを見つけるだけで正解にたどり着く。 短縮コストを聞かれたら、そのクリティカルパス上で最も安い作業を短縮する。
例外:「作業Dの余裕日数は何日か」とピンポイントで聞かれたときだけ、観念してその周辺だけボックスを書く。 足し算だけでは余裕日数は出せないため。
クリニック立ち上げで言えば、内装工事・医療機器搬入・スタッフ採用が同時進行するとき、 ボックス法なら「機器搬入は3日遅れてもオープン日に影響しない」まで見える。実務では価値があるが、試験では時間を食うだけ。
目次へ戻る出題者は必ず別の技術の説明をくっつけて引っかけてくる。識別キーは2つだけ。
素材(モノ)が回る=旋盤加工。陶芸のろくろのイメージ。「旋」は回るという漢字。
刃物(ツール)が回る=フライス加工。歯医者のドリルのイメージ。素材は固定されている。
問題文に「回転する素材に」とあればフライスではなく旋盤。ここが最大の引っかけどころ。
| 加工法 | 正体 | すり替えられる相手 |
|---|---|---|
| アーク溶接 | 電気の放電でバチバチ火花を散らすゴツい溶接(造船など) | 「高精度・熱影響が少ない」と書かれたらレーザー溶接 |
| ダイカスト | ドロドロに溶かした金属を型に流し込む(鋳造) | 「叩いて成形」と書かれたら鍛造 |
| 深絞り加工 | 平らな板を型の上でズボッと押し込み、アルミ缶のような深い容器を作る | — |
| へら絞り加工 | 回転する金属板に「へら」を押し当てて中華鍋のようなお椀型に伸ばす | 「パンチとダイで挟んで曲げる」はただのプレス曲げ |
①モノが回るか、刃物が回るか(旋盤 vs フライス)
②ドロドロに溶かすか、ガンガン叩くか(ダイカスト=鋳造 vs 鍛造)
叩く=刀鍛冶=鍛造。カスト(キャスト)=流し込む=鋳造。この2軸で大半のダミーは瞬殺できる。
見込生産と受注生産がバトンタッチする場所。ハンバーガーの保温ラックがそれ。
デカップリングポイント(DP)とは、見込生産(予測で作る)から受注生産(注文を受けてから作る)へ切り替わる分岐点。 デカップリング=切り離す、の名の通り、予測ベースの作業と注文ベースの作業を分ける境界線を指す。 別名はカスタマー・オーダー・デカップリング・ポイント(CODP)、オーダー・ペネトレーション・ポイント(受注浸透点)。
| 業態 | DPの前(見込生産) | デカップリングポイント | DPの後(受注生産) |
|---|---|---|---|
| ハンバーガーチェーン | ハンバーグを焼きパンに挟んで完成品を作り置き | 完成品を並べる保温ラック | 注文が来たら取り出して即提供 |
| オーダーメイドのサンド店 | パンを焼き、野菜をカットして具材を準備 | レジ横の具材ショーケース | 「トマト抜きで」を受けて目の前で組み立て |
①DPより前は見込生産(プッシュ)、後は受注生産(プル)
②DPには注文にすぐ対応するための部品・半製品の在庫が必ず置かれる
③在庫リスクを抑えつつ顧客の要望に早く応える工夫を延期化戦略と呼び、DPはその必須要件。セットで引き出す
BTOのDPは部品在庫の地点。DPを製品企画・設計より前に置くのは、注文を受けてからゼロで設計する完全オーダーメイド(個別受注生産)であってBTOではない。
ライフサイクルが短い製品ほどDPは上流(顧客から遠い側)に置く。 アパレルのトレンド品のようにすぐ時代遅れになるものは、完成品を抱えると不良在庫のダメージが致命的になるため、材料・部品の段階で止める。 「ライフサイクルが短いほど顧客に近い側にDPを置く」は逆。
またDPから完成までの時間は、顧客の要求納期より短くなければ商売にならない。これは経営者の当たり前の感覚で判定できる。
哲学は同じ。違うのは「見積もり」に使うか「価値向上」に使うか。
情報システムのファンクションポイント法と、運営管理のVE(バリューエンジニアリング)の機能評価は、根底の考え方が一致している。 どちらも物理的なモノ(部品数やコード行数)ではなく、ユーザーから見た「機能」に変換して評価する。
| ファンクションポイント法 | VEの機能評価 | |
|---|---|---|
| 科目 | 経営情報システム | 運営管理 |
| 目的 | システム開発の見積もり | 製品・サービスの価値向上(コスト削減) |
| キーワード | 機能の数と複雑さ/ユーザー視点/開発規模 | V=F/C/機能を落とさずコストを下げる |
VEの公式は価値(V)=機能(F)/コスト(C)。 注文住宅で言えば、「間仕切り壁」という物理的なモノではなく「空間を仕切る・視線を遮る」という機能に注目する。 ロールスクリーンという安い手段で同じ機能を満たせるなら、Cが下がるのでVが上がる。
1次試験ではこの2つが同じ設問の選択肢に並ぶことはほぼない。それぞれの科目でキーワードを見たら反射で選ぶ。
情報システムで「機能の数と複雑さ・開発規模の見積もり」=FP法。
運営管理で「V=F/C・機能を落とさずコストを下げる」=VE。
人口には比例、距離には2乗で反比例。人間心理そのまま。
引力 = 人口 / 距離² 分子(上)=人口 … 店舗や娯楽が多いほど惹きつけられる → 比例 分母(下)=距離の2乗 … 移動をめんどくさがる → 2乗のペナルティで急激に落ちる
・「人口に反比例し〜」→ 誤り。惹かれるのだから比例
・「距離に比例し〜」→ 誤り。めんどくさいのだから反比例
・「売場面積に比例し〜」→ 誤り。ライリーの法則は人口ベース。売場面積ベースなのはハフモデルなど別の法則
計算問題より「ルールの文章」の正誤を問われることが多い。 「人口には惹かれる(比例)/距離はめっちゃめんどくさい(2乗で反比例)」という人間心理のイメージを持ったまま問題文を読めば弾き落とせる。
統計問題に見えて、街の風景の肌感覚で解ける。
「核」とは、その施設に客を呼ぶ強力な集客エンジン(キーテナント)のこと。食品スーパーや総合スーパーが該当する。
| 構造 | 形 | 多さ |
|---|---|---|
| 1核 | 巨大な食品スーパーが1つ入り、周りに100円ショップ・ドラッグストア・小さな服屋がくっつく | 日本で最も多い標準スタイル |
| 2核(ダンベル型) | 建物の両端に巨大スーパーと映画館・百貨店など、エンジンを2つ置いて長い専門店街を歩かせる | 巨大な敷地と資本が要るため総数は少ない |
綱島エリアの中型商業施設を思い浮かべる。スーパーが1つドーンと入り、その周りに専門店が並ぶ——これが日本一多いテンプレ。
・「2核が最も多い」→ 誤り
・「物販の割合が最も低い」→ 誤り。SCに行く目的は洋服・雑貨・食品であり物販が主力
・SCを名乗る条件として1,500㎡以上の面積が必要
SC総数はEC台頭・ライフスタイル変化・人口減による店舗過剰で近年は減少傾向、という大きな方向感で消去法が使える。 ただし具体的なピーク年や店舗数はデータの年版で動くため、数値そのものを覚え込まない。方向だけ信じる。
日常語の「サービス(無料のおまけ・接客態度)」を頭から消すのが先。
サービス業がしっくりこない原因は、日常会話の「サービス=無料のおまけ、店員の愛想」と、 経営における「サービス=形のない商品」がぶつかっているから。後者で上書きすると一気に整理される。
| 分野 | 中身 | 特徴 |
|---|---|---|
| 物販系(モノ) | 家電・洋服・食品・紙の書籍 | 物理的な箱が宅配便で届く |
| サービス系(コト・体験) | 旅行やホテルの予約、飲食店の席予約、ライブチケット、フードデリバリー、美容室予約 | モノは届かないが、現実世界での体験や権利を確保する |
| デジタル系(データ) | 電子書籍、動画配信、音楽ストリーミング、オンラインゲーム | 画面の中でデータとして完結して消費される |
①ダンボールに入れて配送できるか? → YESなら物販
②デバイスにデータとしてダウンロード・保存できるか? → YESならデジタル
③形もデータもないが、スキル・体験・労働力として提供されるか? → YESならサービス
一般的なサービス業も同じ定義で捉える。経営コンサルティング、医療、学習塾、タクシーなどは、 専門家の知識・診断・時間や労働力に対して対価を払っており、持ち帰れる物理的な完成品を売っていない。
目次へ戻る一般的なVMDのゴールは見やすさ・買いやすさ。ドンキはそれを全部捨てている。
VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)の教科書的ゴールは「見やすさ・探しやすさ・買いやすさ」。 ところがドン・キホーテの圧縮陳列は、見つけにくい迷路レイアウト・天井まで積み上げて取りにくい・手書きPOPで情報がうるさい、と真逆をいく。
注文住宅やクリニックの動線設計のゴールは「最短距離でムダなく動けること」。 ドンキはあえて通路を狭く、曲がり角を多く、死角を多く設計し、顧客を迷わせて店内滞在(回遊)を伸ばし、ついで買い(非計画購買)を跳ね上げる。 効率を捨てることで売上を最大化する空間になっている。
ロスリーダー(特売品)戦略=目玉商品で赤字を出してでも客を店内に引き込み、
回遊中に利益率の高い商品を「ついで買い」させてトータルで利益を出す。
ポジショニング(独自性の確立)=あのノイズを貫いたことで「宝探しの無法地帯」という独自の位置を築き、
大手が絶対に真似したくない参入障壁になっている。
店舗を「目的のモノを買う場所」から「宝探しというエンタメを楽しむ場所」へ再定義した、その舞台装置が圧縮陳列。 VMDの手法を変えたのではなくVMDの目的自体をすり替えたのがドンキの革命。
目次へ戻る3文字略語は「どの文字が識別キーか」だけ持てばいい。直前に一番使うページ。
DPSのP=Pick(摘み取る)。棚から必要なものを集めてくる。
DASのA=Assort(仕分ける・種まき)。アソートパック(詰め合わせ)と同じ語。箱に向かって仕分けていく。
| 用語 | 正体 | 仕掛けられる罠 |
|---|---|---|
| ASN | Advance Shipping Notice=事前出荷通知。送る側が事前に送るデータ | 「荷受側が作成する」は誤り |
| SCMラベル | ダンボールに貼る「背番号」バーコード。箱を開けずに中身が分かる | ASNとセットでノー検品を実現するのが目的 |
| トラック予約受付システム | 到着時間を分散させて渋滞を防ぐ | 「集中して到着するように」は誤り。集中したらパンクする |
| パレタイザ | パレットに荷物を積む機械 | 「取り卸す」は誤り。降ろすのはデパレタイザ |
| 物流ABC | 活動基準原価計算。作業ごとのコストをあぶり出す | 「管理不可能なコストを把握」は誤り。管理可能なムダを見つけるためにやる |
① 事前準備:送る側が「背番号1の箱に◯◯が10個」という電子データ(ASN)を先に送る ② 出荷 :実際のダンボールに「背番号1」のバーコード(SCMラベル)を貼って発送 ③ 検品 :受け取る側は箱を開けず、ラベルをスキャンするだけでASNと自動照合が完了
自作ツールのAPI連携で「これからこういうJSONを投げる」と予告しておき、届いたIDをキーにDBと突き合わせる処理と同じ構造。 Littlelinksの入荷検品も、色とサイズでSKUが細かく割れるためヒューマンエラーが出やすいが、この仕組みならシステム側で防げる。
| ペア | 識別キー | 中身 |
|---|---|---|
| MRP / ERP | 最初の文字 | Material=材料。工場の部品所要量を計算 |
| 最初の文字 | Enterprise=全社。ヒト・モノ・カネを統合管理 | |
| DPS / DAS | 真ん中 | Pick=摘み取る(棚から集める) |
| 真ん中 | Assort=仕分ける(箱に種まき) | |
| BTO / BPO / BPR | 最後の文字 | Build to Order=注文が来てから組み立てる |
| 最後の文字 | Business Process Outsourcing=コールセンター等を外部委託 | |
| 最後の文字 | Business Process Reengineering=業務を根本から作り直す | |
| OEM / ODM | 真ん中 | 相手のブランドで言われた通りに作る(製造のみ) |
| 真ん中 | Design=設計から製造まで請け負う | |
| CRM / SCM | 最初の文字 | Customer=顧客との関係管理 |
| 最初の文字 | Supply Chain=工場から店までの供給網全体 | |
| SFA / SLA | 真ん中 | Sales Force=営業活動をITで管理 |
| 真ん中 | Service Level=守るべき品質水準の契約 | |
| EDI / POS | 利用シーン | 企業間で発注書などを電子でやり取り(BtoB) |
| 利用シーン | レジで「いつ何が売れたか」を記録(BtoC) |
略語は「意味を丸暗記」ではなく「どの文字を見れば仕分かるか」だけを持つ。 MRPとERPなら1文字目、DPSとDASなら真ん中、BTO・BPO・BPRなら最後——という条件分岐にしておくと、本番で迷いが消える。
「侵害はアウト」なのに「実施ではない」。この言葉遊びが引っかけの正体。
特許は発明の種類によって3つに分かれ、ジャンルごとに「実施」とみなされる行為が違う。 ここを知らないと「全部特許に関わってるんだからアウトでしょ」と直感で選んで外す。
| ジャンル | 例 | 何が「実施」になるか |
|---|---|---|
| 物の発明 | 車、薬、プログラム | 作る・売る・使う。売るための展示やネット配信も実施 |
| 方法の発明 | 燃費を測定する方法、在庫管理のやり方 | その方法を実際にやることだけ |
| 物を生産する方法の発明 | パンの焼き方、車の組立方 | 方法の実行に加え、その方法で作られた物を使う・売る行為も実施 |
「燃費を測定する方法」の特許(ジャンル2)に対して、その測定に使う機器を売るのは「実施」に当たらない。 機器を売っているだけであって、測定という方法自体を行っていないから。
ただし——「実施ではない」=「セーフ」ではない。専用部品の販売は次のセクションの間接侵害としてアウトになる。 試験委員はこの「実施」と「侵害」の語の違いで揺さぶってくる。
「実施か?」と聞かれたら → 直接手を下しているか(ど真ん中の行為か)だけで判定。部品を売っただけなら実施ではない。
「侵害か?」と聞かれたら → 実施(直接)だけでなく、専用部品の販売(間接侵害)もアウトとして判定。
どちらも犯罪だが、法律用語としては厳格に切り分けられる。
| 区分 | 中身 | 刑法に例えると |
|---|---|---|
| 直接侵害(=実施) | 特許に書かれていることそのものを自分でやる | 殺人罪(自分で手を下す) |
| 間接侵害(=幇助) | それをやるための専用部品を作って売るなどして、他人の実施を手助けする | 殺人幇助罪(犯行用の道具を売る) |
過去問が聞いていたのは「次のうち殺人(実施)ではないものはどれか」。 測定機器を売る行為はピストルを売るのと同じ幇助(間接侵害)で確実にアウトなのだが、 自ら手を下す「実施」の定義には当てはまらない——という法律上の厳密な切り分けが答えだった。
専用品=アウト。その特許の手順のためだけに設計された特殊な形の部品。他に使い道がないので一発で間接侵害。
汎用品=原則セーフ。ただの四角いプラ板のように、他にも普通の使い道があるものを売っただけでは原則として侵害にならない。
デザインを守るのが意匠、ブランドの目印を守るのが商標。ここを混ぜると事故る。
意匠権の定義は「物品の形状、模様、色彩であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」。 大前提として何かのモノにひっついていることが必要。 近年の法改正で、アプリの画面などの「画像」、店舗の「内装」や「建築物」も対象に加わった。
「企業が長年使って信用が蓄積したロゴマークの保護には、意匠権が最も適切である」というダミーが出る。 信用(ブランド)を守るなら商標一択。意匠はデザインの新しさ・美しさを守る制度なので、少しデザインを変えられるとすり抜けられる。
意匠・特許=更新不可(特許20年、意匠25年で終わり)。期限が切れたら社会の共有財産になる。
商標=10年ごとの更新を繰り返せば半永久。長く使うほど信用に価値が出るから。
「意匠権は更新することで半永久的に存続する」は典型的なダミー。
デザイン(意匠)は25年でジェネリック家具になる、ブランド(商標)は一生モノ。
| 対象 | 扱い |
|---|---|
| デザイナーズ家具(イームズチェア等) | かつて意匠権はあったが期間満了。現在はリプロダクト品が合法的に流通 |
| フォント・書体 | 日本では原則として意匠権の対象外。文字は情報伝達の公共の道具のため |
| 純粋に機能だけを追求した形状 | 意匠は美しさを守る制度なので対象外。特許・実用新案で守る |
ナイフとフォークのセットのように、同時に使う2つ以上を1つの意匠としてまとめて登録する制度。 権利はセット全体の統一感に発生するため、ライバルが「ナイフだけ」真似して単品で売った場合に侵害を問うのが非常に難しい。 それでも使う理由は、①単品では平凡でもセットになって初めて生まれる美しさを守れる ②出願費用を抑えられる、の2つ。 資金力のある企業は組物と単品の両方を出願して穴を塞ぐ。
造語は最強、一般名詞は最弱。ブランド設計そのものの話。
外観(見た目)・称呼(響き)・観念(意味)——このどれか1つでも一般の需要者が間違えそうなら類似としてアウト。
「商標の類否は外観のみによって判断される」は典型的なダミー。読み方も意味も見る。
| パチモノ例 | 判定 | 効いた要素 |
|---|---|---|
| 東京国際クリニッグ/ワリニック | アウト | 称呼(響きが一致) |
| 東京国際メディカル | アウトの可能性が高い | 観念(医療施設という意味が同じ) |
| 東京新国際クリニック/西東京国際クリニック | 原則アウト | 外観・称呼 |
地名+ありふれた修飾語+業種の組み合わせは、誰もが使いたい言葉なので特定の1社に独占させない。これが識別力がないという判断。 文字だけでは商標が取れず、特徴的なロゴ(図形)とセットにするしかない。 つまり「◯◯(地名)クリニック」という名前は、商標というバリアを張れない事業リスクを抱えている。
| 類型 | 例 |
|---|---|
| 普通名称 | 時計に「時計」 |
| 慣用商標 | 宿泊施設に「観光ホテル」 |
| 記述的商標(品質・産地表示) | 時計に「スイス」「真」「スーパー」「極」 |
| ありふれた氏名 | 「鈴木」など |
「真時計」は単なる自画自賛(品質表示)なのでNG。
しかし「とっ時計」のような語呂合わせは辞書にない新しい言葉=造語なので登録できる。
「熱さまシート」「のどぬ〜る」「ナイシトール」の小林製薬モデルがこれで、用途を直感で伝えつつ法律上は造語として壁を突破している。
例外ルート:品質表示でも、使い倒して全国的に有名になれば使用による識別力の獲得(セカンダリーミーニング)で登録できる。 「商品の品質を強調する文字はいかなる場合も登録を受けることができない」というダミーは、この例外で切る。
Littlelinksのような造語はアパレルにおいて識別力が高く、文字そのもので強い商標が取れる。 似た名前が出てきても外観・称呼の網で潰せる。造語はブロック力が最強、一般名詞は最弱——これがブランド命名のリアル。
目次へ戻る海外展開の防衛ルール。数字と対象範囲が狙われる。
| 原則 | 中身 | 実務での意味 |
|---|---|---|
| 内国民待遇 | 加盟国の国民は他の加盟国でもその国の国民と同じ条件で保護される。現地の住所・営業所は条件にできない | アウェーの洗礼(不当な差別)を受けない |
| 優先権 | どこか1国に正規出願すれば、一定期間は他の加盟国で出願日を遡らせられる | まず日本で出願して世界に場所取りができる |
| 各国工業所有権独立 | ある国で消滅・無効になっても、他国の権利には影響しない | 道連れがない代わりに、自動取得の甘えもない |
特許・実用新案=12か月/意匠・商標=6か月。
特許のほうが翻訳や準備が大変だから猶予が長い、と紐づける。「商標の優先権は12か月」はダミー。
保護対象は工業所有権のみ(特許・実用新案・意匠・商標・サービスマーク・商号・原産地表示・不正競争の防止)。 著作権は対象外で、そちらはベルヌ条約の担当。「パリ条約は著作権も対象とする」はダミー。
権利そのものの譲渡・専用使用権の設定=登録が効力発生要件(登録しないと権利が発生しない)。
特許法の通常実施権=登録不要(当然対抗制度)。ライセンス先を公表すると企業戦略が漏れるため。
商標法の通常使用権=登録が対抗要件のまま。商標は「この商品は誰のものか」を消費者に示す看板なので、
ライセンス関係が公示されていないと品質管理が崩れて消費者が混乱するから、あえて厳しいルールが残されている。
表を丸暗記しない。「他人が入る」「カネがデカい」の2軸で法律が監視を足していく話。
軸は2つだけ。見ず知らずの他人が株を持てるか(公開か非公開か)と、 世間への影響がデカいか(大会社か否か)。この掛け合わせで必要な機関が決まる。
| ステージ | 状態 | 強制される機関 | なぜ |
|---|---|---|---|
| 1 | 非公開 × 非大会社 | 株主総会と取締役1名のみ | 身内だけで規模も小さい。堅苦しい会議も見張りも不要で最も身軽 |
| 2 | 公開 × 非大会社 | +取締役会・監査役 | 素人株主が大量に入るので、プロの合議制に経営を任せ、暴走を見張らせる |
| 3 | 非公開 × 大会社 | +会計監査人 | 身内経営でも動くカネが巨大。粉飾で倒れると社会問題になるので外部のプロに帳簿を見せる |
| 4 | 公開 × 大会社 | +監査役会(または各種委員会) | 他人株主も多くカネも巨大。監査役1人では追いつかないのでチーム化させる |
「公開」と来たら → 取締役会と監査役が絶対にいる
「大会社」と来たら → 会計監査人が絶対にいる
「公開かつ大会社」のコンボ → 監査役会が絶対にいる
※指名委員会等設置会社・監査等委員会設置会社という別ルートもあるが、まずこの原則ルートの骨組みを完璧にする。
大会社の定義は資本金5億円以上「または」負債200億円以上。「かつ」ではない。
経歴ロンダリングの封鎖と、社長が何を手放したかで見分ける。
社外取締役の存在意義は「社長にズバズバ言える完全な第三者」。過去に自社で働いていた元社員・元役員は恩や遠慮があるので該当しない。
悪知恵として「元部下をいったん監査役(実務をしない役職)に就けてから社外取締役に横滑りさせる」抜け道があるが、
法律は監査役になる前の10年間まで遡ってチェックする。
昔の部下は、監査役というトンネルをくぐらせても社外取締役にはロンダリングできない。
| 指名委員会等設置会社 | 監査等委員会設置会社 | |
|---|---|---|
| 置く委員会 | 指名・報酬・監査の3点セット | 監査等委員会だけ |
| 社長が手放すもの | 後継者指名も報酬決定も全部 | 監査だけ。指名と報酬は社内に残る |
| イメージ | 完全アメリカ型。透明性は最強だが社長の権限は大きく削られる | 日本的妥協型。ガバナンス強化のアピールと権力維持の両立 |
| 例 | ソニー、日立製作所など | 任天堂などが採用し、現在は上場企業の相当数が移行 |
「監査等委員会設置会社には、監査等委員会のほかに指名委員会と報酬委員会を置かなければならない」というダミーが出る。 指名と報酬は社長が手放さなかったから妥協案として成立した制度——この経緯を知っていれば一撃で切れる。
非公開会社には社外取締役を置く義務がなく、登記簿には単に「取締役」と載る。 知人の会社に「社外取締役として」と誘われて就任すると、法律上は経営陣の一角として善管注意義務を負い、 会社が不祥事を起こせば連帯責任のリスクを負う。顧問(業務委託)とは背負うものが根本的に違う。
機関設計では大企業のほうが厳しかったのに、資金調達では非公開のほうが厳しくなる。
この逆転に違和感を持つのは正しい。理由は、会社法が両者に求める最優先ミッションが違うから。
公開会社=スピード命でカネを集めろ/譲渡制限会社=見知らぬ部外者を絶対に入れるな。
| 会社 | 決議機関 | 理由 |
|---|---|---|
| 公開会社 | 取締役会 | すでに誰でも株を買える状態で希薄化は織り込み済み。総会を開いていては資金調達も人材獲得も間に合わない |
| 譲渡制限会社 | 株主総会の特別決議 | 雇われ取締役が身内に新株予約権をバラ撒けばオーナーの持株比率が激減する。パイを切り分ける権限は株主自身にしか渡さない |
公開会社=スピード重視だから取締役会でサクサク決める
譲渡制限会社=仲間内のパイを死守したいから株主総会の特別決議
ただし公開会社でも第三者への有利発行は既存株主が大損するため、例外的に株主総会の特別決議が必要。
1株1議決権の原則を定款でいじる。承継支援の現場でそのまま使う道具。
| 種類 | 中身 | 事業承継での使い道 |
|---|---|---|
| 議決権制限株式 | 議決権の一部または全部がない | 後継者に普通株で経営権を渡し、経営に関わらない兄弟へは配当だけ出る株を渡してお家騒動を防ぐ |
| 拒否権付種類株式(黄金株) | 決議事項にちゃぶ台返しができる | 先代が1株だけ持ち続け、新社長の暴走(会社売却など)に強制ストップをかける安全装置 |
| 取得条項付株式 | 一定の事由が発生したら会社が強制的に買い上げられる | 株を持つ役員が死亡した際、株が見ず知らずの遺族へ流出するのを防ぐ |
公開会社=議決権制限株式は発行済株式総数の2分の1を超えてはならない。一般投資家から資金を集めているのに口出しできない株ばかりでは不公平だから。
譲渡制限会社=上限なし。身内だけの会社なので極端な設計も合法。
「非公開会社であっても2分の1を超えて発行できない」はダミー。
飲み込む側は純資産、手放す側は総資産。ここだけ覚えれば樹形図は不要。
①数字は全パターン共通で5分の1(20%)以下(試験委員は3分の1に変えて嘘をつく)
②主語がゲットする側なら純資産、手放す側なら総資産
| 立場 | 該当する会社 | 分母 | 株主が気にすること |
|---|---|---|---|
| 飲み込む側(買い手) | 存続会社・承継会社・完全親会社・譲受会社 | 純資産 | 自社株を発行して対価にするので、自分の取り分がどれだけ薄まるか |
| 切り出す側(売り手) | 分割会社・譲渡会社 | 総資産 | 店舗・機械・在庫など会社の規模がどれだけ縮むか |
親会社が子会社の議決権90%以上を握る場合(=特別支配会社)、株主総会の特別決議を省いて取締役会決議で進められる。 90%あれば特別決議(2/3以上)は確実に成立するため、会議を開く意味がないから。 残る少数株主には株式買取請求権という脱出ポッドが用意され、「反対する権利は奪うが、嫌なら適正価格で買い取らせて現金で降りてよい」というバランスになっている。
簡易=1/5(20%)以下=規模のルール/略式=90%以上=勝敗のルール。
「議決権の3分の2以上で略式が認められる」はダミー。2/3あれば総会では勝てるが、略式の要件は90%。
総会スキップの絶対王者は90%と刻む。
債権者保護手続の要否と、対価に現金を使えるかどうか。
合併・会社分割=権利義務が丸ごと強制移動する包括承継なので、債権者を一括保護する手続が必須。
事業譲渡=特定の資産・契約だけを切り売りする特定承継(ただの個別売買契約)。
債権者が損しない理由は2つ。①財産が「事業」から「売却代金」に姿を変えるだけで会社の財産総額は減らない ②借金を譲受会社へ移すには債権者一人ひとりの個別同意が絶対に必要で、拒否されれば債務は代金を得た会社に残る。 この「個別にハンコ」という最強のバリアが既にあるので、官報公告+異議受付の一括手続を設ける必要がない。
| 株式交換 | 株式移転 | |
|---|---|---|
| 親会社の器 | 既存の会社 | 新設する会社 |
| 使う場面 | 他社を100%子会社化するM&Aの王道 | 既存会社の上にホールディングスを作る経営統合 |
| 対価 | 現金でもOK(すでに活動している会社なので) | 現金は絶対NG(新設会社に現金はない。株式のみ) |
「株式交換は、親会社が1社新設され…」——主語は交換なのに説明は移転のもの。 本番では「新設」の語を探し、主語が交換ならその選択肢は誤りと機械的に処理する。
もう1つの定番が「株式移転で完全子会社の株主に金銭を交付できる」。生まれたての会社に現金はないので誤り。
三角合併=存続会社の株ではなく親会社の株を対価として交付する手法。 買収される側が「無名な子会社の株はいらない、価値ある親会社の株をよこせ」と要求するため生まれた。 吸収合併の対価として親会社株式など別の財産を交付することは会社法上合法。
会社分割の当事者制限=分割会社(切り出す側)は合同会社のみ可(合名・合資は不可)。 無限責任社員の資産を信用して貸した債権者が、借金を勝手に別会社へ飛ばされるのを防ぐため。 承継会社(受け取る側)は全ての持分会社が可能。移ってきた債権者から見れば無限責任社員が背負ってくれる分、むしろ安全になるから。
最後に取りこぼしやすい2つ。どちらも一行ルールで足りる。
| 種類 | 責任 | 実態 |
|---|---|---|
| 合名会社 | 全員が無限責任 | 個人資産まで持っていかれるため新規設立はほぼない |
| 合資会社 | 無限責任と有限責任の混合 | ハイブリッド型。現代ではあまり使われない |
| 合同会社(LLC) | 全員が有限責任 | 現在設立される持分会社の大半。設立費用も安い |
「合同会社の社員は無限責任を負う」→ 合同会社は全員有限責任。無限責任を背負うのは合名会社。
「持分会社における利益の配当は出資の価額に応じて行わなければならない」→ 出資割合に縛られない(定款自治)。
株式会社のルールと混同させる定番の罠。
問題文に「材質・成分・性能・効果」とあれば → 優良誤認(商品そのものの価値を盛って騙す)
問題文に「価格・数量・割引・アフターケア」とあれば → 有利誤認(お財布事情で騙す)
「二重価格表示は優良誤認にあたる」はダミー。価格のウソは有利誤認。
契約不適合責任・契約解除・不法行為の時効・製造物責任法・制限行為能力者・相殺・保証・相続と遺言といった民法領域は、 このログには含まれていない(別セッションの内容)。 直前復元デッキの E-CIV系カードに一次情報で検証済みの形で入っているので、そちらで確認すること。 経営法務は会社法・知財・民法の3本柱で、民法は毎年級の出題がある。