中小企業診断士 1次試験 · 直前通読ノート

過去問で詰まった所だけを集めた、4科目の通読ノート

試験日 2026-08-01〜02 素材: NIKA×Gemini の対話ログ全文 全47セクション・トピック別に再構成

過去問演習や講義で「意味不明」だった箇所を、その場でGeminiに問い合わせた実録をまとめ直したもの。 教科書の順番ではなく自分が実際につまずいた順に材料が揃っているのが本体で、 刻まれる比喩や言い回しはできるだけそのまま残してある。 数値・公式・条文の扱いは点検済みで、疑わしい箇所には注記を入れている。 個人の税務・役員報酬・法人資金繰りの相談パートは試験範囲外のため全て除外した。

01

借方・貸方のホームポジション

左右が混乱したら、まずここに戻る。全部の土台になる話。

「左(借方)=お金が入ってくる/借金が減る=嬉しい」「右(貸方)=お金が出ていく/借金が増える=悲しい」—— これはB/S(貸借対照表)における現金や借金の動きを捉える感覚としては完璧に正しい。 B/Sは「タンクに貯まっている水(状態)」の世界なので、この感情の直感がそのまま使える。

試験の罠:P/Lでは感情が逆転する

ところがP/L(損益計算書)は「パイプを流れる水(動き)」の世界であり、ここでは左右の感情が完全にひっくり返る。 売上が上がるのは嬉しいことだが右(貸方)に書く。経費がかかるのは痛いことだが左(借方)に書く。 なぜ逆転するのか——複式簿記は「結果」と「原因」を同時に記録するパズルだから。

結果と原因のパズルとして考える

クリニックで1万円の売上があった場合:

結果(左):現金が1万円増えた(嬉しい:B/Sの左)
原因(右):売上(収益)が1万円上がったから(P/Lの右)

(借方)現金       10,000 / (貸方)売上       10,000

パソコンを10万円で買った場合:

結果(右):現金が10万円減った(悲しい:B/Sの右)
原因(左):消耗品費(費用)が10万円かかったから(P/Lの左)

(借方)消耗品費   100,000 / (貸方)現金       100,000
一撃ルール:5つのチームの定位置(ホームポジション)

感情ではなく「増えたら定位置、減ったら逆側」という機械的なルールで処理する。迷ったらまず現金の動き(増えたら左、減ったら右)を確定させ、空いた反対側に「原因」をパズルのように当てはめる。

定位置チーム
左(借方)資産(現金・売掛金など)/費用(経費・損失など)
右(貸方)負債(借金など)/純資産(資本金など)/収益(売上など)

応用例:なぜ売却益は「悲しい方(右)」に来るのか

固定資産売却益はP/Lの「収益チーム」のメンバーなので、定位置は常に右(貸方)。 古い医療機器を帳簿価額より高く売れた(ラッキー)というケースで考える。 「手元に現金が入ってきた(結果)」をまず左に確定させ、「なぜ増えたか=機材が高く売れて利益が出たから(原因)」を右に代入してバランスを取る。 「右=悲しい」というのはB/Sという状態のタンクに限った話であり、売上・売却益のようなP/Lのメンバーが出てきたら「結果を説明するために反対側に代入された原因」と読み替える。

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02

B/S構造キャラ図鑑

貸借対照表の住人たちを「精鋭チーム」として丸ごと覚える。

B/S(貸借対照表)は「資金をどう集め(右)、それを何に変えたか(左)」を表す図。 左側の住人は全員「1年以内に現金になるか、本業サイクルの中で常に回っている」という厳しいオーディションを勝ち抜いた精鋭たち(ワン・イヤー・ルール)。

流動資産チーム(すぐ現金になる精鋭たち)

  • 現金預金 — 絶対神・キング。今すぐ何にでも姿を変えられる最強のカード。
  • 売掛金・受取手形(ツケ払いブラザーズ) — 売掛金(弟)は口約束のツケ、受取手形(兄)は法的なハンコ付きの強力なツケ。手形の方が回収パワーが強い。
  • △貸倒引当金(冷酷な裏切り予測システム) — 売上債権や貸付金の下に付く不気味なマイナス勘定。「数%は夜逃げする」前提でリスクヘッジしておく。
  • 有価証券:売買目的+1年以内(短期決戦のデイトレーダー) — 株や債券のうち「短期でパッと転がしてすぐ現金に戻す」身軽な奴らだけがこのチームに入れる。
  • 棚卸資産(出番待ちの在庫タレント) — 流通業なら商品、製造業なら原材料→仕掛品→製品と名前を変えながら現金化を狙う。
  • 短期貸付金(すぐ返すと言った友人) — 1年以内に返る約束の債権。ここにも△貸倒引当金が付く。
  • 経過勘定:前払費用・未収収益(タイムトラベラー) — 前払費用は「先払いした分、後からサービスを受け続ける権利」。未収収益は「サービス提供済みだが入金日が来ていない」タイマー付き資産。
一撃ルール:株の所属チームは「目的」で決まる

「満期保有目的の債券は流動資産である」は典型的な誤答。オレンジの警告ポイントは「売買目的+1年以内」だけが流動資産チームに入れるという一点。長期保有目的(満期保有・関係会社株式)は後述の固定資産チーム所属。

固定資産・繰延資産チーム(長期戦の重鎮と会計の魔法)

「1年以内に現金化する気は全くない」、腰を据えてビジネスの土台を作るメンバーたち。

  • 建物&△減価償却累計額(老いを受け入れる大黒柱) — 使うほど古くなるため、価値の目減りを記録する「老化メーター」が必ずセット。
  • 土地(不老不死の神) — 時間が経っても価値が減らない、減価償却されない最強の物理資産。
  • 建設仮勘定(建設中の予約チケット) — 建築中に前払いした手付金・中間金の居場所。完成・引き渡しの瞬間に「建物」へ進化する。完成前は減価償却されない。
  • のれん(ブランド力・買収プレミアム) — 純資産より高い値段でM&Aした場合の差額。
  • ソフトウェア(業務効率化の要) — 自社の業務効率化ツールや電子カルテシステムなど。
  • 関係会社株式(支配の証) — グループ会社をコントロールし続けるための株。売る気はゼロ。
  • 投資有価証券:満期保有目的(ガチホの仙人) — 「満期まで絶対に売らない」国債・社債など。売買目的と名前が似ているが所属チームが完全に別。試験の超頻出引っかけポイント。
  • 長期貸付金&△貸倒引当金(気長な金貸し) — 返済が1年より先でよいお金。期間が長い分リスクも高く、ここにも貸倒引当金が監視。
一撃マスターのまとめ(試験の切り分けルール)

1. 老化する資産か、しないか — 建物・ソフトウェアは減価償却するが、土地と建設仮勘定はしない。

2. 証券の「目的」は何か — 売買目的(短期)なら流動資産、満期保有目的(長期)・関係会社株式なら固定資産。

開業費の罠 — 繰延資産は固定資産と別チーム

新規事業を立ち上げる際、オープン前の莫大な出費(ハンコ代・コンサル料・調査費など)を初年度に全額費用計上すると決算書が血みどろになる。 そこで「オープン前に使ったお金は、一旦『資産』の箱に隠して数年に分けて費用にしてよい」という特例が繰延資産(創立費・開業費)。すでに現金は消えているのに、決算書の上だけ資産のフリをして残れる合法的な魔法。

試験の罠:固定資産と繰延資産は別チーム

B/S仕訳の演習で、開業費を固定資産チームに混ぜて計算すると答えが選択肢に存在しなくなる。 資産チームは実は「流動資産」「固定資産」「繰延資産」の3つに分かれており、開業費は独立した「繰延資産」チームの所属。 「繰延資産は一括償却せず貸借対照表に記載する」という注記が問題文にあったら、固定資産の箱から必ず追い出すこと。

流動資産 250  固定資産  98(開業費2を除く)  繰延資産  2
────────────────────────
負債    100  純資産   250

左:250 + 98 + 2 = 350  右:100 + 250 = 350(一致)

負債・純資産チーム(B/S右側)

右側は「資金の調達方法」。負債=いつか返さないといけない他人のお金、純資産=絶対に返さなくていい自分の本当のお金。

  • [流動負債]仕入債務(支払手形・買掛金)、短期借入金、経過勘定(未払費用・前受収益)——1年以内に絶対返せの短期取り立て屋。
  • [固定負債]長期借入金——住宅ローンや創業融資のような、じっくり付き合う長期の相棒。
  • [株主資本]資本金・資本剰余金(創業の元手)、利益剰余金(稼いだ黒字の蓄積)、△自己株式(自社株買い戻し分のマイナス)。
  • [新株予約権]ストックオプションなど、未来のモチベーションチケット。
一撃ルール:黒字倒産の絶対法則

「流動資産(すぐ現金になる)」が「流動負債(すぐ返さなきゃいけない)」より少ないと、純資産に利益剰余金が山積みでも会社は黒字倒産する。 安全性分析では「流動比率=流動資産÷流動負債」で、この短期決戦の勝敗を必ずチェックする。

純資産と固定資産の踏み絵

「資産」という同じ文字が入っているせいで混乱しやすいが、この2つは住んでいる世界が完全に別次元。

一撃ルール:「メルカリやM&Aで他人に売れるか?」

右側(純資産)はお金の出どころ、左側(固定資産)はお金の使い道。見たことのない単語が出てきたら「これは事業をたたむ時に他人に売れるか?」と自問する。

  • 売れる(物理的なモノ・システム・株などの権利がある)→ 固定資産(車両、土地、ソフトウェア、関係会社株式)
  • 売れない(ただの「出したお金」「稼いだ黒字の履歴」という概念)→ 純資産(資本金、資本準備金、繰越利益剰余金)

純資産の正体は金庫の中の物理的なお金ではなく、「会社がこれまで歩んできた歴史(出資と黒字のメモ書き)」に過ぎない。だから誰にも売れない。

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03

P/Lウォーターフォール

損益計算書は上から下へ流れる「お金の滝」。仕入割引はなぜ経常利益で足すのか。

P/Lの計算は、売上高から段階的に利益を絞り込んでいく一方通行の滝として捉える。

ステップ1:売上総利益(現場の純粋な粗利)

売上高から売上原価を引く。売上原価は「期首+当期仕入-期末」で逆算する。 在庫管理に例えると、倉庫に最初からあった服(期首10)+今年仕入れた服(500)の合計510着のうち、年末の売れ残りが60着なら、実際に売れて出ていった原価は510-60=450と正確に逆算できる。

売上高 1000 - 売上原価450(=期首10+仕入500-期末60) = A 売上総利益 550

ステップ2:営業利益(本業の実力)

粗利から販管費(給与・広告宣伝費・旅費交通費・福利厚生費・通信費・水道光熱費など)を引く。

550 - 200(販管費) = B 営業利益 350

ステップ3:経常利益(会社全体の総合力)— 最大の罠

試験の罠:仕入割引はなぜ売上原価から引かないのか

「割引」という名前だが、不良品の値引きではない。「月末払いのツケを、手元に現金があるから早めに払ってあげたことでもらえた、金融の利息のようなキャッシュバック」という性質のもの。 つまり資金繰りが上手い会社が得られる「財務上のボーナス」なので、本業の粗利(売上原価)には混ぜず、営業外損益として経常利益の段階でプラスする。

350 + 受取配当金10 + 仕入割引5 - 支払利息30 = C 経常利益 335

ステップ4:当期純利益(最終的な手残り)

今年たまたま起きた一過性のラッキー・アンラッキー(特別利益・特別損失)を加減し、税金を払う。

335 + 特別利益10(固定資産売却益)- 特別損失45(災害損失)= 税引前利益 300
300 - 法人税等120 = D 当期純利益 180
一撃ルール

「仕入割引は、商品の値引きではなく資金繰り上手へのボーナスだから下(経常利益)の方で足す」——この理屈だけ知っていればウォーターフォールのパズルは瞬殺できる。

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04

企業会計原則7原則と「注解」の引っかけ

試験委員が大好きな「主語と説明文のすり替えパズル」。

企業会計には憲法のような7つの「一般原則」と、その補足ルールである「注解」が存在する。試験では主語と説明文がわざとすり替えられる。

  • 真実性の原則 — 企業会計の究極目標。「絶対に嘘の決算書は作るな」という最上位の絶対ルール。
  • 資本取引・損益取引区分の原則 — 資本と利益を混同するな。「起業の元手(資本金)」と「本業で稼いだお金(利益剰余金)」の引き出しを絶対に混ぜない。
  • 明瞭性の原則 — 財務諸表で利害関係者に明瞭に表示し、判断を誤らせないようにする。
  • 保守主義の原則 — 将来ヤバい損失が出そうなら、今のうちに多めに見積もって備える(貸倒引当金がまさにこれ)。
試験の罠:重要性の原則は「一般原則」ではなく「注解」

例えば100円のボールペンを備品(資産)として計上し数年かけて減価償却するのは事務作業の無駄。 「金額が小さくて重要性が乏しいものは、消耗品費としてその年の経費で一発で落としてよい」という実務上のルールが重要性の原則。 しかしこれは憲法である一般原則(7つ)の中には入っておらず、補足説明書である注解の方に書かれている。試験で何度も狙われる引っかけポイント。

一撃ルール

企業会計原則の問題が出たら、「主語」と「説明文」が正しく一致しているかの間違い探しゲームとして解く。

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05

株主資本等変動計算書の速算法

巨大な表に見えるが、正体は「純資産チームの1年間の家計簿」。

表が巨大で項目も多く圧倒されるが、単なる純資産チームの1年間の家計簿。

一撃ルール:一番右側の列(純資産合計)だけを縦に足し引きする

表の内部でどう資金を移動させたか(資本金に入れたか準備金に入れたか等)は、会社全体のトータル金額には一切影響しない。 「外部からお金が入ってきたか、外部へ出ていったか」だけを俯瞰すればよい。

計算ステップの実例

前期末残高(純資産合計)                    250
(1) 新株発行:外部から現金が入ってきた       + 50
    (資本金25/資本準備金25の内訳は無視してよい)
(2) 剰余金の配当:外部へ現金が出ていった     - 10
    (利益準備金への積立は「箱の中の引き出しの
      場所替え」なので影響なし)
当期純利益                                  + 180
自己株式の処分(外部へ売って現金化)         +  4
新株予約権の増加                            +  6
────────────────────────────
当期末残高                                  480

表の空白をすべて真面目に埋めようとすると試験の貴重な時間が奪われる。「外部とのやり取りか、内部の付け替えか」だけを俯瞰すれば、ただの足し算・引き算のボーナス問題に変わる。

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06

減損会計 — 判定と損失額の2段階

表に数字がズラッと並ぶが、「右側の2列はダミー」の問題も多い。関門は2つ。

減損とは、経営者が「この設備、実は稼げない不良債権でした」と白状して、帳簿上の見栄えを強制的に引き下げるルール。

第1関門:判定(左2列だけを比較)

一撃ルール:帳簿価額 vs 割引前将来キャッシュ・フロー

これから稼ぎ出す現金の合計(割引前将来CF)が、今の帳簿価額を下回っていたら(元が取れないなら)減損決定。 「減損損失を認識すべきものはどれか」だけを問う問題では、右側の2列(正味売却価額・使用価値)は一切使わない完全なダミーであることが多い。

資産X: 帳簿2,800 > 将来CF2,400 → 減損決定
資産Y: 帳簿3,100 < 将来CF3,300 → セーフ(減損なし)
資産Z: 帳簿4,500 > 将来CF3,900 → 減損決定

第2関門:損失額の計算(右2列が主役)

一撃ルール:正味売却価額と使用価値の「高い方」を採用

第1関門で減損確定した資産だけ、右側の「正味売却価額(売る)」と「使用価値(使い倒す)」を比較し、経営者として少しでも手元に多く残る=高い方を回収可能価額として採用する。帳簿価額との差額が減損損失。

資産X: 売却1,300 vs 使用価値1,400 → 高い方1,400を採用
        減損損失 = 2,800 - 1,400 = 1,400

資産Z: 売却3,400 vs 使用価値3,200 → 高い方3,400を採用
        減損損失 = 4,500 - 3,400 = 1,100

減損の表が出たら(1)左2つを比べて稼ぎが負けていれば減損決定、(2)右2つを比べて高い方を選び帳簿価額から引く、の2ステップで一撃。

のれん・無形固定資産の4択ルール

  • のれんは減損の対象 — M&Aで生まれたブランド価値の差額。買収後に想定より稼げなくなれば強制的に価値を切り下げる(減損)。帳簿上のブランド価値を見栄で残すことは許されない。
  • 受注制作のソフトウェアは無形固定資産にならない — 自社の業務効率化のために保有するなら無形固定資産だが、他社から依頼されて作る「商品」であれば納品して終わり。
  • 人的資産は資産計上できない — どれほど優秀な人材でも、いつでも辞める自由があり金銭的価値を客観的に測れないため資産にはならない。
  • 無形固定資産の償却は定額法のみ — 有形資産は定率法(最初は大きく、だんだん小さく)を選べるが、物理的に古びない無形資産は定額法(毎年同じ金額)しか認められない。
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07

引当金の分類 — 「相手の顔が見えるか」

債務性/非債務性の見分け方と、修繕引当金vs修繕積立金の別世界。

一撃ルール:相手の顔が見えるか

債務性引当金=相手の顔が見えている。「あなたに絶対に払います」という法的な約束(義務)があるもの。
非債務性引当金=相手の顔が見えていない。誰かに約束したわけではないが、自分のために確実にお金がかかるから準備しておくもの。

  • 商品保証引当金(債務) — 商品を買ってくれた「お客様」への法的な修理・交換義務。
  • 退職給付引当金(債務) — 「従業員」への雇用契約上の退職金支払い義務。
  • 修繕引当金(非債務) — 設備の劣化に備えるが、誰かに払うと法的に約束したわけではない自分のための備え。
特大の罠:貸倒引当金は「負債」ではない

貸倒引当金は「負債性引当金」に分類されそうに見えて、実際は資産チーム(売掛金などの下)にマイナスとしてくっつく「評価性引当金」という別グループ。 問題文が「負債性引当金は〜」と限定している場合、貸倒引当金は前提条件から完全に外れる絶対的なダミー選択肢になる。

修繕引当金 vs 修繕積立金 — 住む世界が違う

目的(将来の修理に備える)は同じでも、所属チームと税金への影響が完全に別次元。

所属今年の利益への影響
修繕引当金負債チーム経費になり、利益を減らす(見えない借金として計上)
修繕積立金純資産チーム(任意積立金の一部)税引後の黒字にラベルを貼るだけ。経費にならず利益への影響なし

※ 文字通り銀行の別口座へ現金を移して貯金した場合は、資産チームの「現金預金」になる点にも注意。

負債会計処理の4択(資産除去債務・正常営業循環基準・未払金)

  • 資産除去債務 — 有形固定資産を取得した際、将来の除去・原状回復コストを現在価値に割り引いてあらかじめ負債計上しておくルール。テナント契約の「退去時スケルトン戻し」義務が典型例。
  • 正常営業循環基準 — 支払手形・買掛金は「1年ルール」に関係なく無条件で流動負債になる。本業の営業サイクルから生まれた借金は特別扱いされ、支払いが1年半後でも流動負債。1年ルールが適用されるのは銀行借入など本業以外の借金だけ。
  • 未払金と未払費用は別勘定 — 未払費用は電気代・家賃のような「継続的にサービスを受けているが今月分の支払いは来月」という時間経過型の後払い。医療機器やパソコンなど本業の商品以外を単発でツケ払いした場合は「未払金」という別勘定を使う。
  • 引当金は「未来の出来事」には使えない — 引当金設定の絶対条件は「原因が決算日より前にすでに発生していること」。まだ起きていない未来の災害に備える引当金の事前設定は、利益操作にあたるため認められない。
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08

税効果会計 — 60点戦略での割り切り方

複雑な計算は捨て、文章問題だけ国語のクイズとして拾う。

前提:中小企業に適用義務はない(試験対策としての整理)

税効果会計は上場企業・大企業には強制適用されるが、中小企業には適用要請がない。自社の実務として深く理解する必要はなく、試験対策としても「会計と税務のルールのズレを調整する処理である」という概要と「法人税等調整額」「繰延税金資産/負債」という用語を押さえれば十分——という位置づけで扱う。

なぜこんな面倒な処理があるのか。会社の帳簿ルール(会計)と国のルール(税務)で経費として認めるタイミングが違うために生じる「ズレ」の辻褄合わせ。例えば貸倒引当金を会社は今年の経費にしたいが、税務署は「まだ確定していない損失は損金として認めない」と却下する(損金不算入)。このズレを補正するのが税効果会計。

一撃ルール:将来加算/減算の国語的判定

漢字のまま読めばよい。将来減算一時差異=将来、税金の計算ベースを減額する。将来加算一時差異=将来、税金の計算ベースを増額する。
資産か負債かは経営者の直感で判定:将来払う税金が安くなる(得)なら資産(繰延税金資産)、将来払う税金が増える(プレッシャー)なら負債(繰延税金負債)

永久差異の絶対暗記リスト

以下の3つは「一時的なズレ」ではなく、税務署が時間が経っても一生経費として認めない永久差異。税効果会計(ズレの調整)の対象から完全に外れる。

  • 交際費(接待などの飲み代を無制限に経費にはさせない)
  • 寄付金(事業に直接関係ない寄付を経費にはさせない)
  • 罰金・科料(法律違反のペナルティを経費にするのは論外)

一方、減価償却費の超過額・貸倒引当金・退職給付引当金などは一時差異(いつかは解消されるタイミングのズレ)。選択肢に永久差異キーワードが「一時差異」として混ざっていたら即アウト。

60点戦略の全体像

試験本番までの限られた時間を、以下の基準で仕分ける。

  • 捨てる:税効果会計の複雑な計算、連結財務諸表の内部取引相殺、デリバティブ・ヘッジ会計、シュラッター図の差異分析——問題文を読まず適当にマークして次へ。
  • 確実に拾う:経営分析(安全性・収益性・効率性指標)、CVP分析(損益分岐点)、意思決定会計(設備投資の経済性計算)、キャッシュフロー計算書(3区分の区別)。
  • 拾えるボーナス:税効果会計でも「将来加算/減算」「永久差異リスト」の文章穴埋め問題は、計算ゼロの国語クイズとして確実に得点になる。

※注記:本セクションの「中小企業に適用義務なし」は試験対策上の大づかみな整理であり、実際の適用可否は会社の規模・会計基準の採用状況によって細かな例外がある。試験知識としての割り切りとして扱い、実務判断の根拠にはしないこと。

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09

本支店会計 — 本店集中計算制度

支店同士は直接口を利けない。すべて「本店」を経由する。

一撃ルール:支店同士は必ず「本店」を経由する

本店集中計算制度は「支店同士で直接やり取りするのは禁止。必ず本店(親分)を経由したことにする」という絶対ルール。 自分の帳簿に相手の支店名を書くことは許されず、必ず「本店」と書く。

実務イメージ:立て替え払いの仕訳

本店=親会社、A支店=アパレル事業、B支店=クリニック事業と仮定。クリニック(B)が払うはずの借金20万円を、アパレル(A)が代わりに立て替えたケース。

【A支店(立て替えた側)の仕訳】
(借)本店       200,000 / (貸)当座預金   200,000
 → 本当はBの代わりに払ったが、Bとは直接絡めないので
  「親分(本店)に200,000預けた(貸した)」と扱う

【B支店(助けてもらった側)の仕訳】
(借)買掛金     200,000 / (貸)本店       200,000
 → 本当はAが払ってくれたが、Aとは直接絡めないので
  「親分(本店)が代わりに払ってくれた(本店に借りた)」と扱う

本店側は中継地点として2段の記録を作るが、そこは架空のパス回し(左右で相殺されて消える)なので、試験対策上は真面目に追わなくてよい。

一撃ルール(試験本番用ショートカット)

「お金を払った支店も、借金が消えた支店も、相手の支店名を書かずに全部『本店』と書く」——これだけ知っていれば、「A支店の仕訳に『B支店』と書いてある」引っかけ選択肢を一瞬で弾き落とせる。

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10

キャッシュフロー計算書

核心は「利益は嘘をつく」。間接法・直接法・3区分・前受/未払利息の4本立て。

間接法の核心:「利益は嘘をつく」

一撃ルール:間接法とは、P/Lの嘘を暴く嘘発見器

P/L(損益計算書)の「利益」は、現金の動きから見ると嘘をついている。間接法は、その嘘(ズレ)を暴いてリアルな通帳残高をあぶり出す仕組み。

  • 減価償却費は足す — 現金を1円も払っていないのにP/Lで利益を減らしている元凶。足し戻す。
  • 資産(売掛金・在庫)が増えたら引く — 在庫が増えた=現金を払って仕入れた、現金は出ていった。
  • 負債(買掛金など)が増えたら足す — 支払いを待ってもらっている分、現金が手元に残っている。

アパレル事業とクリニック事業で「P/Lの嘘」を具体化する。

  • 売上100万円が全額ツケ払い(売掛金)だった場合 — P/L上の利益は100万円プラスだが、手元の現金は0円。間接法では利益から100万円を「引いて」、現金ベースの0円に辻褄を合わせる。
  • 減価償却費200万円が計上された場合 — P/L上の利益は200万円減るが、今年新たに200万円が口座から出ていったわけではない。間接法では、引かれてしまった200万円を「足し戻す」。

直接法:売上債権の「箱の出し入れ」

一撃ルール:期首+売上-期末-貸倒=営業収入

売上債権という箱は「期首残高」「今年の売上」「貸倒れ(ゴミ箱行き)」「現金回収(求める答え)」の4要素でしか増減しない。

期首債権 30,000 + 当期売上 150,000 - 貸倒れ200 - 期末債権 50,000
= 営業収入 129,800

※貸倒れ200の内訳(罠):
  引当金の取り崩し(前期300+当期補充200-当期末残400=100)
  + P/L上の貸倒損失(直接消滅分100)= 合計200

CF計算書の3区分

一撃ルール:見出しの部外者を先に追い出す

営業活動(本業の稼ぎ)/投資活動(未来への種まき:設備購入・貸付)/財務活動(資金繰り:借入・返済・株発行)の3箱。 出題者は必ずチームメンバーをシャッフルして選択肢に混ぜてくるので、計算の前にまず「見出し(今回はどの区分か)」を確認し、別チームの単語(例:財務活動の箱に紛れた長期貸付金=本来は投資活動)を弾き落とす。

長期貸付金(他人にお金を貸す) → 投資活動チーム
長期借入金(銀行から借りる)  → 財務活動チーム

長期借入金が期首1,000→期末500(新規借入なし)
 = 500の借金を返済した = 財務活動CF △500

前受利息・未払利息が「負債」である理由

試験の罠:「負債=借金」ではなく「負債=法的な義務(プレッシャー)」

未払利息が負債なのは分かりやすい(払う義務が残っている)。分かりにくいのは前受利息——現金は先に入ってきて嬉しいはずなのに、なぜ負債なのか。 答え:来月分の利息を先にもらってしまった以上、「来月が終わるまで貸し続けなければならない(途中解約なら返金義務を負う)」という役務提供の義務を抱えている。「お金を返さなきゃいけなくなるかもしれないプレッシャー」を負っているから負債チーム。

【魔法のルール:負債(プレッシャー)が増えたら現金(CF)はプラス】

A:利息の受取額
  受取利息5,000(P/L) + 前受利息の増加300 = 5,300

B:利息の支払額
  支払利息△7,000(P/L) + 未払利息の増加500 = △6,500

CF間接法の総合計算

間接法の3つのIFルールをそのまま機械的に適用するだけの、確実に拾うべきボーナス問題。

税引前当期純利益(=営業利益)           200,000
+ 減価償却費                            + 30,000
+ 売掛金の減少(4,000回収できた)        +  4,000
- 棚卸資産の増加(3,000仕入で現金流出)  -  3,000
+ 買掛金の増加(1,200支払を待ってもらった)+  1,200
- 法人税等の支払い(未払法人税等が不変
    =全額現金で納付した)               - 60,000
──────────────────────────
営業活動によるキャッシュ・フロー          172,200
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誤答分析つき演習

オリジナル模試3問。本番前に一度、罠に引っかかっておく価値がある。

NIKA本人が実際に解いて2問誤答した記録。誤答の原因が典型的な引っかけパターンだったため、そのまま復習教材として残す。

第1問(減損会計)
クリニックに導入した高額医療機器。帳簿価額5,000千円/割引前将来キャッシュ・フローの総額4,800千円/正味売却価額3,500千円/使用価値4,000千円。計上すべき減損損失は?
ア.0円 イ.200千円 ウ.800千円 エ.1,000千円
誤答分析:正解エ(NIKAの回答:イ)

第1関門の判定用数字(割引前CF 4,800)を、そのまま損失額の引き算に使ってしまうのが典型的な誤答パターン。4,800は「減損を執行するか」を判定するためだけの使い捨てセンサーで、帳簿5,000より稼げないと判明した時点で用済みになる。 減損確定後は第2関門に移行し、正味売却価額3,500と使用価値4,000の高い方(4,000)を採用する。5,000-4,000=1,000千円(エ)。

第2問(引当金と積立金)
B/Sの負債チーム(将来お金が出ていく法的な義務)に計上されるものとして、最も適切なものは?
ア.建物の修繕積立金 イ.アパレル商品の商品保証引当金 ウ.売掛金に対する貸倒引当金 エ.過去の黒字から取り置いた別途積立金
誤答分析:正解イ(NIKAの回答:ウ)

「出題者が最も好む絶対的エースの罠」に引っかかったパターン。貸倒引当金は名前に「引当金」が入っているが、負債チームには絶対に入らず、売掛金の下にマイナスとしてくっつく資産チームの評価性引当金。 ア・エは純資産(過去の黒字の貯金箱)。「相手の顔が見える法的な義務」であるイ(商品保証引当金=お客様への修理義務)だけが負債チーム。

第3問(税効果会計)
将来の税金を安くする繰延税金資産を生み出す「一時差異」に該当するものは?
ア.接待交際費の損金不算入額 イ.事業に無関係な寄付金の損金不算入額 ウ.交通違反等の罰科金の損金不算入額 エ.パソコンの減価償却費の損金算入限度超過額
正解エ(NIKAの回答:エ・正解)

「税務署が一生許さないリスト(交際費・寄付金・罰科金=永久差異)」を正しく除外できていれば、消去法で一撃。この直感が本番でも通用する水準。

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